ヒトを含む、さまざまな生き物にとって、生きるために欠かせないのが排泄行為。動物の排泄物「うんち」に焦点をあてた展覧会が、水道橋の東京ドームシティ Gallery AaMoで開催中です。
会場では、汚い、臭いといったネガティブなイメージがある「うんち」を、ポップな展示でさまざまな種類を紹介します。「うんち展ドリル」のクイズに沿って会場を巡ると、より理解も深まります。

東京ドームシティ Gallery AaMo「うんち展 -No UNCHI,No LIFE-」会場
食べものを食べた後に出る排泄物の「うんち」。ヒトのうんちは、さまざまな消化液と混ざりながら、胃や小腸、大腸を通ってできます。臭いがしたり茶色いというイメージは、消化液の胆汁の成分によって色がつき、またタンパク質が分解される過程で匂いが生じるためです。
哺乳類や鳥類、爬虫類、両生類は、それぞれの食べものに合った消化の仕組みがあります。たとえば、哺乳類の中でも雑食動物は肉食動物より長い腸をもっています。会場の最初では、それぞれの消化管を比較することができます。

1章「うんちができるまで」
会場に並ぶ動物たちの下に目線を向けると、それぞれのうんちが展示してあります。動物によって、大きさや形がさまざまなことが分かります。
ヒグマは植物を中心とした雑食性で、食べたものによってうんちの色や形が変わります。一部の地域では、サケを食べたヒグマが森でうんちをすることで、窒素分などの海の栄養が森に運ばれることもあります。

2章「さまざまなうんち」ヒグマのうんち
臭いうんちをするのは、肉食動物です。肉などのタンパク質を分解する際に出る成分によって臭くなり、食べた動物の羽や毛が含まれることもあります。

2章「さまざまなうんち」ライオンのうんち
ヘビやトカゲなど爬虫類のうんちは、白や黄色で尿酸が固まったものが含まれています。両生類の中でもカエルは、餌として食べた昆虫の一部がしょうかされずに含まれています。

2章「さまざまなうんち」爬虫類や両生類のうんち
ゾウのうんちは、なんと6キロ。1回分うんちが入っているバケツを持ち上げて、その重さを体感することもできます。

2章「さまざまなうんち」ゾウのうんち
うんちには、外的な機能もさまざまあります。青色の果実を食べるクロシロエリマキキツネザルは、うんちと一緒に種子が排出され、深く散布されると考えられています。
自分のうんちをお尻の穴から直接食べてしまうのは、ウサギです。食べた植物を胃の中で微生物に発酵させた軟便を食べる事で栄養を吸収しています。

3章「うんちの機能」
昆虫の中には、敵から身を守るために鳥などのうんちに見た目を似せる「糞擬態」もいます。体長3mmほどのムシクソハムシは、50倍に拡大された模型と合様々な角度から見ると、その形がよく分かります。

3章「うんちの機能」
うんちは、さまざまな生きものに利用されていますが、人間の生活の中でも肥料や燃料、薬などにも利用されています。江戸時代には、農民が都市の住民に尿(糞尿)を買って肥料を作り、その肥料で育てた亜供物を都市の住民に売るという循環システムも成り立っていました。

4章「うんちの利用」
自然界ではヒトも生きものうんちも同じように分解されます。会場には、写真家・伊沢正名氏によるヒトのうんちの分解過程を覗きこめるボックスも設置されています。

5章「人のうんちのゆくえ」

5章「人のうんちのゆくえ」
春休みやGW、家族でのお出かけにもおすすめの「うんち展 -No UNCHI,No LIFE-」。機能や違いなどさまざまなことを学んだ後は、「うんち」のイメージもきっと変わるはず。ミュージアムショップでは、ぬいぐるみやポーチ、Tシャツなども販売しています。
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 / 2025年3月17日 ]