2025年で生誕150周年を迎える日本画家・上村松園。卓越した視点で気品あふれる美人画を描き続けた彼女の足跡は近代日本画の歴史に燦然と輝き、その作品は時代を超えて観る者を魅了し続けています。全国で開催される記念展を通じて、松園が描いた「理想の女性像」とその芸術の真髄に触れてはいかがでしょうか?
上村松園(1875-1949)
明治・大正・昭和を生きた日本画家であり、美人画の名手として知られる。京都に生まれ、早くから絵の才能を発揮。幸野楳嶺に師事し、のちに竹内栖鳳にも学んだ。伝統的な大和絵の流れをくみつつ、繊細で気品あふれる女性像を追求し、「序の舞」や「楊貴妃」などの代表作を残した。
松園は、単なる美しさだけでなく、内面の気高さや品格を備えた女性像を描き続けた。1948年には女性として初めて文化勲章を受章。その作品は、現代においても日本画の最高峰として高く評価されている。
美人画の頂点へ ― 松園が追い求めた女性美の真髄
生誕150年記念 上村松園
大阪中之島美術館 2025年3月29日(土)〜6月1日(日)

松園の画業を包括的に振り返る大規模回顧展。《母子》《序の舞》などの重要文化財を含む100点超の作品を通じて、彼女の独自の美人画の世界を紹介します。松園が築いた女性日本画家の系譜や、鏑木清方・北野恒富ら同時代の画家との違いにも注目。女性として初めて文化勲章を受章した松園の足跡をたどる絶好の機会です。
- 松園の代表作《母子》《序の舞》など重要文化財を含む100点超を展示
- 初期から晩年までの作品を通して、松園の芸術的発展をたどる回顧展
- 鏑木清方・北野恒富など、同時代の美人画家との違いを検証
気品は時を超えて ― 松園が描く、美しき女性たちの物語
特別展「生誕150年記念 上村松園と麗しき女性たち」
山種美術館 2025年5月17日(土)~7月27日(日)

松園が目指した「清澄で気品ある女性像」をたどる特別展。山種美術館が誇る《新蛍》《砧》《庭の雪》を含む22点の松園作品を展示し、彼女の画業を初期から晩年まで紹介します。また、生誕130年の小倉遊亀、生誕120年の片岡球子による女性画や、鏑木清方の美人画も併せて展示し、時代を超えた「麗しき女性たち」の姿を楽しめる展覧会です。
- 山種美術館所蔵の松園作品22点を展示し、初期から晩年までの画業を紹介
- 代表作《新蛍》《砧》《庭の雪》などを鑑賞できる貴重な機会
- 松園と同時代の女性画家、小倉遊亀(生誕130年)、片岡球子(生誕120年)の作品も展示
眉目秀麗、気品纏う ― 松園の筆が描く、究極の美人画
上村松園と美人画の軌跡
福田美術館 2025年10月11日(土)〜2026年1月8日(日)

上村松園《姉妹之図》福田美術館蔵
松園の生誕150周年を記念し、福田美術館所蔵の松園作品を中心に、美人画の魅力を探る展覧会。眉やうなじなど、松園がこだわった女性の美しさを引き立てる表現技法に焦点を当てた展覧会。同時代の画家による美人画も展示し、日本画における女性表現の多様性を楽しめる内容となっています。
ポイント:
- 福田美術館が所蔵する松園作品を中心に、美人画の魅力を堪能できる展覧会
- 眉やうなじなど、松園がこだわった女性美の表現技法に注目
- 日本画における「美人画」の伝統と進化を振り返る機会
美の誕生 ― 松園の下絵からひも解く、創作の秘密
上村松園生誕150年記念 下絵と本画-新発見の松園の下絵を中心に-
松伯美術館 2025年11月1日(土)~12月28日(日)

上村松園《唐美人(下絵)》 松伯美術館管理
松園の創作過程をひも解く展覧会。上村家に残されていた松園の下絵や素描の調査の過程で新たに発見された作品を中心に、本画に至るまでの試行錯誤を紹介します。松園が理想とする女性像をどのように追求し、完成させていったのか、その画業の核心に迫る貴重な機会です。
ポイント:
- 新発見の下絵を通じて、松園の創作過程を詳しく紹介
- 下絵と完成作品を比較し、構図や表現の変遷をたどる
- 松園が目指した「気品ある美人画」の制作過程に迫る
上村松園の生誕150周年を迎える2025年、各展覧会はそれぞれ異なる視点から松園の画業に迫ります。それぞれの展覧会を巡ることで、松園が追求し続けた「気品ある美」の本質に、より深く触れることができるでしょう。
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