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    レポート
    レオナルド×ミケランジェロ展
    三菱一号館美術館 | 東京都
    「宿命のライバル」が素描で対決
    レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519)とミケランジェロ・ブオナローティ(1475-1564)。年齢こそ23歳も違いますが、互いを強く意識した宿命のライバルでした。実力が最も良く現れる素描で両者を比較する展覧会が、三菱一号館美術館で開催中です。
    ミケランジェロ・ブオナローティ《〈レダと白鳥》〉の頭部のための習作》1530年頃 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ
    レオナルド・ダ・ヴィンチ《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》1483-85年頃 トリノ、王立図書館
    レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく《聖アンナと聖母子》1501-1520年頃 フィレンツェ、ウフィツィ美術館
    ミケランジェロ・ブオナローティ《河神》1525年頃 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ
    レオナルド・ダ・ヴィンチ《髭のある男性頭部(チェーザレ・ボルジャ?)》1502年頃 トリノ、王立図書館
    (左から)レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく《レダと白鳥》1505-10年頃 フィレンツェ、ウフィツィ美術館 / フランチェスコ・ブリーナ(帰属)《レダと白鳥(失われたミケランジェロ作品に基づく)》1575年頃 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ
    ミケランジェロ・ブオナローティ《イサクの犠牲》1535年頃 フィレンツェ、カーサ・ブオナローティ
    レオナルド・ダ・ヴィンチ《馬の前脚の習作/《スフォルツァ騎馬像》のための習作》1490年頃 トリノ、王立図書館
    レオナルド・ダ・ヴィンチ《月桂樹の冠をかぶった男性の横顔》1506-1508年頃 トリノ、王立図書館
    トリノ王立図書館やカーサ・ブオナローティの所蔵品を中心とした本展。なんと会場に入るといきなり、最大の見ものである2点が登場します。

    ミケランジェロの素描の中で特に重要とされる《〈レダと白鳥》〉の頭部のための習作》。モデルは男性ですが、左下の素描はまつ毛が長く女性らしい顔つきです。

    対するレオナルドの《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》は、著名な美術史家のバーナード・ベレンソンが「世界一美しい素描」と評した作品。肩越しに振り返る表情が実に魅力的です。



    展覧会は8章構成、1章は「顔貌」です。レオナルドは目や鼻の比率などを正確に計算し、真正面を描いた素描もありますが、ミケランジェロは斜めからの視点が多く、動的な印象を受けます。

    2章は「絵画と彫刻のパラゴーネ(イタリア語で「比較」)」。絵画の優位性を説いたレオナルドに対し、ミケランジェロは彫刻家の自負を持ちながらも「(絵画と争うのではなく)仲直りをして大げさな議論は止めにしたい」と主張しました。

    3章は「人体表現」。骨格、関節、筋肉といった人体の構造について、両者ともに実際の解剖を通して習熟していました。

    4章は「馬と建築」。馬への関心が高かったレオナルドは、脚などを繰り返し描写。ミケランジェロも僅かですが、馬の素描があります。逆に建築は、レオナルドで残っているものはありませんが、ミケランジェロは重要な建築物を数多く手がけています。



    5章は「レダと白鳥」。追随者によって伝わるふたつの「レダと白鳥」(オリジナル絵画はともに失われました)。ミケランジェロは横たわるレダ、レオナルドは立ち姿のレダです。

    6章は「手稿」。膨大な手稿を残したレオナルド。天文学、言語学、解剖学などジャンルも極めて多彩です。《大鎌を装備した戦車の二つの案》は、敵兵をバラバラに切り裂く武器の提案です。

    7章は「書簡と詩歌」。レオナルドの手稿に私生活の記述はありませんが、ミケランジェロの書簡には個人的な想いも綴られています。

    8章は「肖像」。レオナルドによる《月桂樹の冠をかぶった男性の横顔》は、特徴的な風貌から、特定の人物を描いた肖像とみなされています。



    なお、開幕間際になってビッグニュースが入りました。ミケランジェロ・ブオナローティ(未完成品、17世紀の彫刻家の手で完成)《十字架を持つキリスト(ジュスティニアーニのキリスト)》が7月11日(火)から9月24日(日)まで出展される事となりました。

    キリスト像だけで2010mmという大きさで、ミケランジェロの大理石彫刻でここまで大型の作品が来日するのは初めて。彫刻が来る前に来館する方にも、彫刻の展示室に再入場できるチケットが配布されます。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年6月16日 ]

    レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ (おはなし名画シリーズ) レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロ (おはなし名画シリーズ)

    辻 茂 (著), 川滝 かおり (著), 西村 和子 (編集)

    博雅堂出版
    ¥ 3,145


    ■レオナルド×ミケランジェロ展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2017年6月17日(土)~9月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    10時~18時 / 金(祝日を除く)のみ10時~20時
    ※10/5より開館時間が変更になりました。
    ※いずれも最終入館は閉館30分前まで
    休館日
    月曜休館(但し、祝日は開館)
    住所
    東京都 千代田区 丸の内2-6-2
    電話 03-5777-8600
    公式サイト http://mimt.jp/lemi/
    料金
    一般 1,700円/高校・大学生 1,000円/小・中学生500円
    展覧会詳細 レオナルド×ミケランジェロ展 詳細情報
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