2015年にリリースされ、主に若い女性の間で爆発的な刀剣ブームを巻き起こした刀剣育成シミュレーションゲーム「刀剣乱舞ONLINE」。累計ユーザー数は1,300万を越え、ミュージカル、舞台、アニメ、映画、コミック、歌舞伎など、その世界は大きく広がっています。
刀剣乱舞とコラボした展覧会は何度も美術館で開催されていますが、今回の舞台は科学館。日本刀を通して、日本が現代に紡いできた技術や文化を紹介していく特別展「刀剣乱舞で学ぶ 日本刀と未来展 -刀剣男士のひみつ-」が、日本科学未来館で開催中です。
特別展「刀剣乱舞で学ぶ 日本刀と未来展 -刀剣男士のひみつ-」会場入口
まず会場に入ると、日本刀について書き込みながら学べる展覧会オリジナルのパンフレットを配布。続くオープニング映像では、特別展のオリジナルナビゲートキャラクター「きゅうのすけ」が、本展の展示内容を紹介します。
展覧会は5つの間(エリア)で構成されており、第1の間「日本刀ってなに?」は日本刀の種類や特徴について。日本刀の特徴を3つあげると、原材料は「玉鋼(たまはがね)」、つくり方は「折り返し鍛錬」、形状は「造込」です。
第1の間「日本刀ってなに?」
第2の間「日本刀ができるまで」では、鍛冶屋の工房を舞台に、日本刀ができるまでの工程を紹介しています。
工程は、木炭に触れてみよう・玉鋼をつくる・玉鋼に触れてみよう・鍛錬・焼入れ・研ぎ師の道具・下地研ぎ、と7つのステップ。
ボタンを押すと音や映像の演出が始まるなど、小さなこどもでも楽しめるように構成されています。
第2の間「日本刀ができるまで」
第3の間「日本刀を観察」は、会場で最も広いエリア。「日本刀の楽しみ方道場」では、なんと目の前にある「三日月宗近」か「山姥切国広」を、触りながら鑑賞?
と思いきや、実は本物そっくりに作られた「模型刀」です。ただ、刃文まで再現されているため、持ち上げるまでは緊張するほどの精巧さ。映像のガイドに沿って、刀剣鑑賞のイロハが学べます。
第3の間「日本刀を観察」
奥では身近なものと日本刀との比較。傘やバット、テニスラケットなどと、脇差や太刀などが、比べられています。
日本一長い日本刀とされる「破邪の御太刀」は、465センチ、75キロもあります。
第3の間「日本刀を観察」
円形の展示ケースでは、実物の日本刀も展示。ケース内の日本刀が回転するものもあり、どこにいても、刀身の輝きや細かな刃文をじっくり鑑賞できます。
さらに別のケースでは、実物の日本刀に触ることができる展示も。ケース内だけなので、大きく振りかぶることはできませんが、それでもずっしりとした重量感を味わうことができます。
第3の間「日本刀を観察」
ゲーム感覚で人気を集めそうなのが、第4の間「日本刀を体感」です。
まずは「天然理心流・試衛館」の師範の剣術の動きを使った刀剣男士の案内で、剣術を練習。続いて実際に体を動かしながら、ゲーム感覚で相手を倒してください。。
第4の間「日本刀を体感」
展覧会では特別に、源義経の守り刀であり自刃した短刀であるという逸話を持つ日本刀「今剣(いまのつるぎ)」が制作されました。
作刀を手がけたのは、刀工の石田四郎國壽氏。「今剣」という名前から、両刃造りの剣を想像。「義経記」から「今剣」の記述を探したうえで、宗近の刀を参考にした直刃基調に、二重刃風の飛焼を施しました。本展で堂々の初公開です。
作刀プロジェクトで生まれた「今剣」
最後の間「日本刀と未来」には、最初に配られたパンフレットを見ながら、オリジナルの刀剣男士を作れるコンテンツを用意。
刀剣乱舞作品に関わる著名人の「未来へつなぎたい大切なもの」も、エピソードとともに紹介されています。
第5の間「日本刀と未来」
すでに武器として日本刀が使われた時代は遠い昔になりましたが、現在、日本にある日本刀は、なんと約200万本(振)といわれます。文化としての日本刀が、現代にも脈々と受け継がれていることがわかります。
日本科学未来館での展覧会ということもあり、パネルもルビ付きの分かりやすい解説。小さな子ども連れでも安心の展覧会です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2024年7月9日 ]