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    レポート
    徳川一門 ― 将軍家をささえたひとびと ―
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館 | 東京都
    外から将軍家に入った徳川の人々に支えられて15代続いた徳川将軍家の歩み
    家康の直系は4代、徳川宗家は7代で断絶。8代・11代・14代・15代は外から
    政権が明治新政府に移ると徳川将軍家は公爵家へ。確実に継承された「家」

    1993年の開館から約30年経過した江戸東京博物館。2022年4月1日(金)から大規模改修工事のため全館休館となります。

    休館前の最後の企画展は、徳川一門の人々にフォーカス。初代家康から血縁で連なる人たちが、どのように将軍家の存続に寄与したか、多くの資料で探ります。



    東京都江戸東京博物館 企画展「徳川一門 ― 将軍家をささえたひとびと ―」会場入口


    展覧会はプロローグ「—将軍家康—」から。慶長8年(1603)に江戸幕府を開いた徳川家康。幕府草創期に徳川家の基盤となったのは、家康のこどもたちでした。

    家康が関ケ原の戦いまでにもうけた子息は8人いますが、長男と3男を除く6人は他家の養子になりました。彼らは譜代大名として、徳川家を守っていく事になります。



    (上)《御系図》徳川義直編 江戸時代前期 德川記念財団 / (下)《東照大権現像》天海賛 四代木村了琢筆 江戸時代前期 德川記念財団


    第1章は「御三家・御三卿 —吉宗の登場—」。家康の子である義直、頼宣、頼房は、それぞれ尾張徳川家、紀伊徳川家、水戸徳川家、いわゆる御三家になりました。

    御三家は他の大名とは異なる立場でしたが、将軍家は7代家継までは嫡流で継承されたため、将軍家と御三家は徐々に疎遠になっていきます。

    流れが変わったのが、8代吉宗。吉宗は既に紀伊当主になっていましたが、8歳で夭折した家継の後をうけ、御三家から初めて将軍家を相続しました。



    (左から)《徳川吉宗像》狩野忠信筆 昭和4年(1929)德川記念財団 / 《蓮之図》徳川吉宗筆 鷲尾隆長賛 江戸時代中期 德川記念財団


    さまざまな幕政改革を行った吉宗は、「将軍の家族」を増やす新たな施策も行いました。

    吉宗は次男の宗武と4男宗尹に、それぞれ江戸城田安門内と一橋門内に邸を与え、両者は新たに一家を創設。9代家重も次男重好に清水門内に邸を与え、田安・一橋・清水の御三卿が誕生し、徳川家は盤石の体制になりました。



    《徳川家関係城館図屏風》江戸時代末期 東京都江戸東京博物館


    続いて第2章「一門の広がり —家斉とその子どもたち—」。一橋家から迎えられ、15歳で将軍になった11代家斉は、さらに徳川宗家の血縁を大きく拡大させました。

    家斉は将軍として50年、さらに4年間大御所として「西の丸政治」を行い、通算54年の長期政権を握ります。



    (左から)《徳川家斉像》狩野晴川院養信筆 天保12年(1841)か 德川記念財団 / 《本小札濃勝糸威二枚胴具足》徳川斉順所用 江戸時代末期 東京都江戸東京博物館


    家斉がもうけた子女は、なんと53人。実子の大多数は養子や婚姻によって御三家や御三卿、さらに外様大名に配され、将軍家を外から支える血脈は強固なものとなりました。

    12代将軍は家斉の次男(長男は夭折)の家慶です。長い在任にもかかわらず、一度も日光に参らなかった家斉と異なり、67年ぶりに日光社参。天保の改革も行いますが、最晩年にペリーが来航し、時代は大きく動いていきます。



    (奥左から)《徳川家慶像》狩野雅信筆 嘉永7年(1854)德川記念財団 / 《菊文 酒坏》徳川家慶作 文化15年(1818)頃 德川記念財団 / 《山水図》松平斉民筆 明治23年(1890)德川記念財団 / 《牟礼高松図》田安斉匡筆 江戸時代後期 德川記念財団


    第3章は「激動の中で —天璋院・家茂・和宮・慶喜—」。13代将軍家定は病弱で実子に恵まれず、在職中から将軍継嗣問題が勃発。一橋慶喜を推す一橋派は、天璋院(厚姫)が家定に輿入れするなど攻勢をかけますが、井伊直弼の強い後押しにより紀州藩主の慶福(家茂)が14代将軍に就任します。

    14代家茂の正室として降嫁したのが、皇女和宮です。天璋院と和宮という二人の御台所は、江戸城大奥を束ね、婚家である徳川家の存続のため、幕末の動乱期に大きな活躍をしました。



    《徳川家茂像》徳川茂徳筆 慶応2・3年(1866・67)德川記念財団 / 《萌黄繻子地雪持笹御所車文小袖》天璋院所用 江戸時代後期 德川記念財団


    最後の将軍となったのが徳川慶喜。慶応3年(1867)に大政を奉還し、ここに江戸幕府は幕を閉じました。慶喜は水戸家出身(徳川斉昭の七男)で、後に一橋家当主になりました。

    14代、15代と江戸時代の最終版を担った将軍は、2代続けて御三家・御三卿出身という事になります。



    (左から)《白羅紗葵紋付陣羽織》徳川慶喜所用 江戸時代末期~明治時代初期 東京都江戸東京博物館 / 《徳川慶喜像》川村清雄筆 明治時代 德川記念財団


    最後はエピローグ「—公爵家達—」。政権は新政府に移り、幕府・将軍職は廃止されますが、幸いにも徳川宗家は家名相続が認められました。

    御三卿田安家から徳川宗家を継いだのは、わずか6歳だった田安亀之助です。相続後に徳川家達と名を改め、16代当主になりました。

    家達は新政府によって駿河国府中城主になり、その後、版籍奉還で静岡藩知事に。《非役有位(四位以上)大礼服》は珍しい子供用の大礼服ですが、家達ならではといえます。



    (左から)《徳川家達肖像写真》明治4年(1871)徳川記念財団 / 《非役有位(四位以上)大礼服》徳川家達所用 明治5年(1872)徳川記念財団


    展覧会はすでに後期展に入っており、会期は3月6日まで。4月からは全館休館となり、休館は令和7年(2025)度中(予定)までと発表されているので、最大で丸4年の休館となります。

    コンサートや日本舞踊などの休館前イベント「またね!江戸博」も実施されます。詳しくは公式サイトでご確認ください。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年2月1日 ]

    《徳川家慶像》狩野雅信筆 嘉永7年(1854)德川記念財団
    《松の徳葵の賑ひ》明治20年(1887)東京都江戸東京博物館
    (上)《天璋院像》川村清雄筆 明治17年(1884)德川記念財団 / (下)《徳川家茂書状控 松平容保宛》徳川家茂筆 江戸時代後期 個人蔵(徳川宗家文書)
    東京都江戸東京博物館 企画展「徳川一門 ― 将軍家をささえたひとびと ―」会場風景
    会場
    【2025年度中まで全館休館予定】東京都江戸東京博物館
    会期
    2022年1月2日(日)〜3月31日(木)
    会期終了
    開館時間
    午前 9 時 30 分~午後 5 時 30 分 (土曜日は午前 9 時 30 分~午後 7 時 30 分) ※入館は閉館の 30 分前まで
    休館日
    1月11日(火)・17日(月)・24日(月)・31日(月)、2月7日(月)・14日(月)・21日(月)・28日(月)
    住所
    〒130-0015 東京都墨田区横網1-4-1
    電話 03-3626-9974(代表)
    公式サイト https://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
    料金
    一般 600円(480円)
    大学生・専門学校生 480円(380円)
    中学生(都外)・高校生・65歳以上 300円(240円)
    中学生(都内)・小学生以下 無料
    *(  )内は20名以上の団体料金。
    展覧会詳細 徳川一門 ― 将軍家をささえたひとびと ― 詳細情報
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