生誕120年を迎え、戦争時代を生きた日本画家小早川秋聲(こばやかわ しゅうせい/1885~1974)の画業と人となりを紹介します。 小早川秋聲は、母方の家の神戸生まれですが、父は鳥取県日野郡日野町黒坂の光徳寺の住職小早川鉄僊であり、秋聲自身も光徳寺の後継者になるべく、東本願寺衆徒として僧籍に入りました。しかし、中学卒業後、寺から出て、騎兵隊に入隊。その後は京都市立絵画専門学校に入学し、画家となります。文展・帝展に連続して入選するとともに、朝鮮美術展・満州美術展・中日美術展などにも出品し、中国・朝鮮はもちろん、欧州へも渡り、その画業はめざましいものです。大正から終戦までの期間、京都画壇で活躍した郷土を代表する日本画家となるのです。秋聲は従軍画家でもありました。京都霊山護国神社所蔵で、現在、日南町美術館受託の≪国之楯≫の作品は戦争画として、大変有名な作品です。戦後は戦犯として捕らえられる覚悟をし、宗教画を描きながら過ごしました。 本展は、当館開館以来から、郷土の重要な作家として調査研究してきた成果の中間報告的な要素も含め、「小早川秋聲展」(平成12年)を開催した日南町美術館の協力のもと、現段階で解明できた秋聲の画業と人となりを紹介します。