温故創生館について
続いて、温故創生館について。ここでは鞠智城が築かれた時代やその役割、城の構造について、展示と映像で学ぶ事ができます。
温故創生館 展示風景
館内ではさまざまな出土品が紹介されていますが、目玉といえるのが《百済系銅造菩薩立像》(常設では展示されていません)。2008年に鞠智城の貯水池跡から出土した仏像です。高さ13センチ足らずの小さな仏像で、足の下にはホゾがある事から、小さな厨子などに入れられて携帯されたものと思われます。
7世紀後半の百済仏の特徴がみられる事から、百済でつくられて日本に持ち込まれたと考えられます。このような仏像は、百済でもかなり身分が高い人しか持てないので、あるいは鞠智城へ築城を指導にきた百済の亡命貴族が持っていたものかも知れません。
《百済系銅造菩薩立像》
同じく貯水池の跡からは、コナラでつくられた鋤(スキ)などの木製品も発掘されています。防衛を任されていた兵士たちですが、その生活は自給自足だったこともうかがえます。
建物の屋根に用いられた瓦として、平瓦、丸瓦、軒丸瓦も出土。軒先につける軒先瓦には蓮の花をかたどった意匠がみられますが、これも百済由来の様式です。
鋤などの木製品
興味深い史料としては、焼けて炭になった籾。米倉の周りから大量に見つかっており、地元では「この地に住んでいた米原長者が、天罰を受けて家屋敷を焼き尽くされた」という伝説がある事から、あるいは何らかのつながりがあるのかもしれません。
ボランティアによるガイドツアーや、鞠智城の歴史を再発見できる「鞠智城講座」、そして、ころう君の巡回と、積極的な活動を続けている鞠智城。コロナ禍が落ち着いたら、ぜひ天気が良い日に遊びに来ていただければと思います。
温故創生館の外観