【当面の間、臨時休館】
「コートールド美術館展 魅惑の印象派」が神戸市立博物館で開催されます。
コートールドはイギリスの実業家で、マネ、ドガ、ルノワール、セザンヌなど、印象派のコレクションを築きました。およそ100年前(1920年代)のことです。
展示会場は2つに分かれていて、最初の会場では主にセザンヌの絵が紹介されています。
ポール・セザンヌ《キューピッドの石膏像のある静物》1894年頃 油彩、板に貼られた紙 コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
セザンヌの《キューピッドの石膏像のある静物》。
何となく不思議な印象で、見入ってしまいます。
静物なのに、水平な線が一本も見当たらないためでしょうか。
次の展示会場では、ルノワール、ドガ、マネなどの作品が並びます。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《靴紐を結ぶ女》1918年頃 油彩、カンヴァス コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
ルノワールの《靴紐を結ぶ女》。
コートールドのコレクション第一号となった作品です。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《春、シャトゥー》1873年頃 油彩、カンヴァス 個人蔵(サミュエル・コートールド旧蔵)
夢の中のような光景。
パリ郊外の風景が描かれています。
ピエール=オーギュスト・ルノワール《桟敷席》1874年 油彩、カンヴァス コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
華やかなドレスに身を包み、劇場の桟敷席(ボックス席)に座る女性。
コートールドはこの絵に相当ほれこんでいたらしく、女性を花や宝石に、劇場を聖堂にたとえた詩を書き残しています。
この作品と同じ年(1874年)に描かれたのが、下のドガの絵です。
エドガー・ドガ《舞台上の二人の踊り子》1874年 油彩、カンヴァス コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
舞台を斜め上から見下ろしているような視点。さっきの男女が座る桟敷席からは、こんな風に見えるのでしょうか。
踊り子たちの表情は、本番の舞台のわりにリラックスしているように見えます。
上演作品は明らかではありませんが、その衣装から、モーツァルトのオペラ『ドン・ジョヴァンニ』の幕間の可能性があるそうです。
エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 油彩、カンヴァス コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
ミュージックホールにあるバーで接客する女性。
等身大の女性の正面に立つと、自分自身がバーの客となり、飲み物を注文しているような気分になります。
人々のざわめき、グラスの触れ合う音‥。鏡の中の世界が自分の背後にも広がっていきます。
アメデオ・モディリアーニ《裸婦》1916年頃 油彩、カンヴァス コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
モディリアーニの裸婦像。肌の質感が独特です。
絵具の塗り方の工夫が、X線を使った調査で明らかになっています。
この展示フロアには、ほかにゴーガンやロートレックの絵、ドガやロダンの彫刻などが並びます。
コートールドは、印象派がすべての人に開かれた芸術であることを確信していました。
時間がいくらあっても足りないと思うくらい、見ごたえがあります。
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