展覧会概要
フォトスポット
愛知県美術館で「コートールド美術館展 魅惑の印象派」が始まりました。
印象派の作品は、世界的にとても人気があり、日本国内だけでも毎年、何本もの印象派展が開催されます。
ですから、「また印象派?」と思う方もいると思いますが、今展にはマネ、ルノワール、セザンヌ、ゴーガンなどの代表作を含む絵画・彫刻60点と関連資料が多数出品されています。
ラーニングパネル(左側)
また、作品を多面的に鑑賞できるように、主だった作品にはラーニングパネル(作品解説)が用意されています。
X線写真などの資料もあり、見ただけではわからない絵の具の塗り方や描きなおしの痕跡を知ることができます。
全体的に、見て楽しい、知って得する展示構成になっています。
展示室にて
エレベーターの内部
愛知県美術館は愛知芸術文化センターの10階にあり、多くの方はエレベーターを利用すると思います。
そのエレベーターの内部も特別仕様になっています。
エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 油彩、カンヴァス 96×130cm コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
今展のメインビジュアルです。
ポスター、チラシ、カタログなどでよく見かけるので、実物をどこかで見たような気にさせられます。
書店に並ぶマネの画集でもよく見かける作品ですが、今更ながらコートールド美術館の所蔵ということを知りました。
展示室では、作品の左右の空間が広めにとられているので、とても見やすいです。
日本で公開されるのは約20年ぶりだそうです。
ポール・セザンヌ《大きな松のあるサント=ヴィクトワール山》1887年頃 油彩、カンヴァス 66.8×92.3cm コートールド美術館 © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
ポスト印象派を代表するセザンヌの作品は10点が展示されています。
知人の間で1番人気が、この作品です。
洋画だけど、どことなく浮世絵に似た雰囲気が良いのだそうです。
ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1892-96年頃 油彩、カンヴァス 60×73cm コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
風景画の他には、こちらも人気がありました。
テーブルや奥の棚が左に傾いています。しばらく見ていると、見ているこちらも左側に倒れてしまいそうです。
「カード遊び」とありますが、どちらが勝ったのでしょう?
ピエール=オーギュスト・ルノワール《桟敷席》1874年 油彩、カンヴァス 80×63.5cm コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
髪に花飾りをつけ、着飾った女性の後ろで、双眼鏡を使っている男性がとても不思議です。
彼女の目線が舞台を見ているとすると、彼が見ているのは舞台以外のどこか?
あるいは誰か?もしかすると、今日の演目は空中ブランコ?
帰り際、2人でどのような会話をするのでしょう?
ポール・ゴーガン《ネヴァーモア》1897年 油彩、カンヴァス 60.5×116cm コートールド美術館
© Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)
全体的に暗めの色彩ですが、右端の枕のところだけ鮮やかな黄色になっていて、とても目を引きます。
手前で横たわる人物の表情を見ると、はっきりと目覚めていて、背後の2人の人物をとても気にしているようです。
2人の会話が終わった後、彼女はどうするのでしょう?
もし、事件が起きるとしたら、窓辺の鳥が、目撃者になりそうです。
とても静かな、強い緊張感を感じました。
展示室風景(左:エドガー・ドガ《踊り始めようとする踊り子》 右:エドガー・ドガ《舞台上の二人の踊り子》)
今回は彫刻も多数出品されています。
こうやって同じようなポーズの作品が近くに配置されていて、見比べながら鑑賞できる点も楽しめました。
余談ですが、展示室の照明は暗めに、空調もおとなしめに設定されているようです。
そのぶん、スポット照明が効果的に感じられました。
閑話休題
コレクション展の小企画では、若手作家の横内賢太郎の「CONTACT」が開催されています。
彼は現在、インドネシアを拠点に制作していて、今回は新作の絵画、およびインドネシアのアーティストと共同制作した映像などが展示されています。
絵画作品では、つややかなサテン生地に青を主とした色彩で東南アジア風の家屋や人物を描いているのですが、画面の左右でイメージの天地が反転していて、とても不思議な感覚です。
印象派展の作品とは異なる、軽やかできれいな作品だと思いました。
巨大ミュージアムショップ出現
美術館ロビーは、デパートの初売コーナーに負けないくらい、とても賑やかな雰囲気です。
特製トートバッグ
中でも気になったのが、特製トートバッグです。
長短のボーダーラインでデザインされていて、よく見ると出品作家の生没年がグラフになっています。これを見ると、ドガとモネは長命だったことがよくわかります。
エリアレポーターのご紹介
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ひろ.すぎやま
近現代美術、演劇、映画をよく見ます。
作品を見る時は、先入観を避けるため、解説などは後から読むようにしています。
折々に、東海エリアの展覧会をレポートしますので、出かけていただく契機になれば幸いです。
名古屋市美術館協力会会員、あいちトリエンナーレボランティア。
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