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    レポート
    コートールド美術館展 魅惑の印象派
    東京都美術館 | 東京都
    英国が誇る、印象派・ポスト印象派の殿堂
    20世紀初頭にレーヨンの製造・国際取引で財を成した英国の実業家、サミュエル・コートールド。展覧会で目にした印象派の作品に目を奪われ、わずか10年足らずで多くの作品を蒐集しました。マネ、モネ、ルノワールなど傑作揃いの展覧会が、東京都美術館で開催中です。
    エドゥアール・マネ《フォリー=ベルジェールのバー》1882年 コートールド美術館蔵
    (左から)ポール・セザンヌ《ジャス・ド・ブッファンの高い木々》1883年頃 / ポール・セザンヌ《レ・スール池、オスニー》1875年頃 ともにコートールド美術館蔵
    ポール・セザンヌ《カード遊びをする人々》1892-96年頃 コートールド美術館蔵
    ピエール=オーギュスト・ルノワール《桟敷席》1874年 コートールド美術館蔵
    アンリ・ド・トゥールーズ=ロートレック《個室の中(「ラ・モール」にて)》1899年頃 コートールド美術館蔵
    ジョルジュ・スーラ《クールブヴォワの橋》1886-87年頃 コートールド美術館蔵
    アメデオ・モディリアーニ《裸婦》1916年頃 コートールド美術館蔵
    オーギュスト・ロダン《ムーヴマン A(拡大作)》原形:1911年以降 ブロンズに鋳造:1956年 コートールド美術館蔵
    ポール・ゴーガン《テ・レリオア》1897年 コートールド美術館蔵

    ロンドンにあるコートールド美術館。日本での知名度は高いとはいえませんが、イギリスが世界に誇る印象派・ポスト印象派の殿堂です。


    作品がまとめて国外に貸し出される事は滅多にありませんが、同館が改修工事に入ったため、大規模展が実現。日本では1998年の「コートールド・コレクション展」(日本橋高島屋など)以来、約20年ぶりとなります。


    出品作品は約60点と、数はあまり多くありませんが、巨匠が描いた重要な作品ばかり。西洋絵画好きにはたまらない、豪華な展覧会です。ここでは目に付いた作品を少しだけ、ご紹介しましょう。


    まずはポール・セザンヌ。コートールドが最も多くの作品を購入したのがセザンヌで、油彩11点のほか、水彩画や手紙なども蒐集しました。


    セザンヌはカード遊びをする労働者を何点も描いていますが、《カード遊びをする人々》もそのひとつ。低すぎる肩、長すぎる脚などは、解剖学的な正しさよりも、画面の調和を優先した結果です。



    展覧会メインビジュアルの《フォリー=ベルジェールのバー》は、エドゥアール・マネ最晩年の傑作。マネが没する前年、1882年のサロンで発表されました。


    フォリー=ベルジェールはパリのミュージック・ホールで、多彩な催し物が庶民に愛された娯楽場でした。本作は、その一角にあるバーが舞台。中央のメイドは、どことなく物憂げな様子です。


    構図や主題も含めてさまざまな解釈がありますが、卓越した空間表現と魅力的なメイドが、強く印象に残ります。


    続いて、ピエール=オーギュスト・ルノワール。1922年に収集を開始したコートールド夫妻が、最初に購入した2点のうち1点がルノワールでした(もう1点はジャン・イポリット・マルシャン Jean Hippolyte Marchand)。


    《桟敷席》は、ルノワールが第1回印象派展に出品した記念すべき作品です。コートールドの収集で、最も高額な作品のひとつでもあります。


    最新ファッションで着飾った女性が集う劇場の桟敷席は、大衆雑誌やファッション誌ではしばしば取り上げられていますが、絵画のテーマとしては画期的でした。


    最後にポール・ゴーガン。コートールドがポスト印象派の作品として初めて購入したのが、ゴーガンの油彩画2点でした。


    《ネヴァーモア》は、ゴーガン二度目のタヒチ滞在時に描かれたもの。「横たわる裸婦」は西洋絵画の定番といえる画題ですが、この作品からは生々しさがあまり感じられません。


    本展は図録もオススメです(2,500円)。主要作品は透明シート付きで解説されるなど、凝った構成。展覧会の図録は堅苦しい論文が目立ちますが、読者ファーストの姿勢はありがたいです。


    東京で開幕した巡回展で、愛知県美術館(2020年 1/3~3/15)、神戸市立博物館(3/28~6/21)に巡回します。


    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年9月9日 ]


    作品は全て © Courtauld Gallery (The Samuel Courtauld Trust)



    会場
    東京都美術館 企画展示室
    会期
    2019年9月10日(火)~12月15日(日)
    会期終了
    開館時間
    9:30~17:30
    休館日
    月曜日(ただし、9月16日、9月23日、10月14日、11月4日は開室)、9月17日(火)、9月24日(火)、10月15日(火)、11月5日(火)
    住所
    東京都台東区上野公園8-36
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://courtauld.jp
    料金
    一般 1,600(1,400)円 / 大学生・専門学校生 1,300(1,100)円 / 高校生 800(600)円 / 65歳以上 1,000(800)円 / 中学生以下 無料

    ※( )内は前売券および20名以上の団体料金
    ※各種観覧券等の詳細は特設WEBサイトへ
    ※身体障害者手帳・愛の手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳・被爆者健康手帳をお持ちの方とその付添いの方1名までは無料
    ※いずれも証明できるものをご持参ください
    展覧会詳細 「コートールド美術館展 魅惑の印象派」 詳細情報
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