1960年に新人デザイナーの登竜門「装苑賞」を受賞してから現在までファッション・デザインの最先端を駆け抜けてきたコシノジュンコさんの過去最大規模の展覧会が、2023年11月23日(木・祝)〜2024年1月21日(日)まで、あべのハルカス美術館にて開催されています。展示されるのは、これまでの作品の中から約100着の衣装、デザイン画、パネル、世界各地でのショーの映像など。どのコーナーを見ても彼女の創造性に圧倒される、そんな展覧会でした。
会場風景
まず活動初期のコーナーでは、高校時代の油彩画、デッサン画、学生時代の写真から、装苑賞受賞作品、東京でご自身のブティック「コレット」をオープンした頃の写真、日本万国博覧会(70年大阪万博)のパビリオンユニフォーム等が展示されています。
60年代、70年代という時期に独自の感性が認められていったことが感じられます。 またこのユニフォームは色鮮やかでニットブーツも可愛らしくおしゃれで、今見ても古さを感じません。とてもすごいことだと思います。
会場風景
大阪万博ユニフォーム
次のコーナーでは、対極をテーマとした赤と黒のコントラストの世界、白とメタリックの世界、スパイクドレスの世界と、近未来的で全く新しい世界観が繰り広げられていきます。会場では次の部屋に足を踏み入れるたびに、うわぁと心の中で叫びっぱなし。ものすごいインパクトで迫ってくる感じでした。
会場風景
会場風景
会場風景
4人がファスナーで1つにつながっている今回初公開のドレス。白地に大小の球体がアレンジされたデザインに目を奪われます。
会場風景
次のコーナーでは、世界的に活躍されている和太鼓グループ DRUM TAOの衣装デザインや、京都国立博物館の琳派400年記念祭のための「能とモード」をテーマにした衣装などが展示されています。
これまでにデザインされたDRUM TAOの衣装は延べ数千着、サムライを感じさせる世界観で躍動的な彼らのパフォーマンスを強力に支えてきたことが会場の映像からも伝わってきます。演奏を聴きに来られた方々を目で楽しませ、これは何だろうと好奇心をそそらせる。しかも、激しく動かなければいけない演奏者の動きやすさまで、全てに配慮してデザインされていることに感銘を受けました。コシノジュンコさんは、相手にチャンスをもたらせる服、幸運を呼び寄せる服をデザインされていると感じました。
能の衣装の方は、まずヘアスタイルのデザインから始めると言われるだけあって、そのインパクトが素晴らしく、なんとも言えない愛らしさがあります。展示された数10着はどれもそれぞれ細部まで個性的に作りこまれていて圧巻でした。
会場風景
会場風景
最後のコーナーではおよそ25分間にもわたる世界各地でのファッションショーの模様が放映されていました。コシノジュンコさんのこれまでのダイジェスト版といった映像ですが、場面が切り替わるたびにその新しさに目を奪われます。決して過去の焼き直しなんかではない本物の凄さと新しい潤いを改めて体感できました。
今回の展覧会はどんなジャンル、年齢、環境の方が会場に足を運ばれても、何か新しい発見と感情の揺さぶりをもらえる、そんな予感がしました。 とても素敵な展覧会をありがとうございました。
[ 取材・撮影・文:Marie / 2023年11月22日 ]
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