世界で最も有名な王の一人、ツタンカーメン。3000年以上前とはいえ、生身の人間として実在した人物です。
わずか8〜9歳で即位し、19歳で亡くなったツタンカーメンを中心に、超複製品(スーパーレプリカ)と大映像で古代エジプトを体感する展覧会が、角川武蔵野ミュージアムで開催中です。
角川武蔵野ミュージアム「体感型古代エジプト展 ツタンカーメンの青春」会場入口
会場はツタンカーメンの王墓を再現した序章を抜けると、広々とした空間に圧巻の展示が待ち受けています。
大きな金色の箱は、第2~第4厨子。続いて第1~第3の人型棺が並びます。ツタンカーメンは何重にも入れ子になって、埋葬されていました。
「中央展示」
本展で展示されているのは、世界に3セットしかない「超複製品(スーパーレプリカ)」。ツタンカーメンの王墓に収められていた副葬品、約130点が並びます。
第1~第3の人型棺には、近寄って鑑賞する事が可能です。レプリカとはいえ、露出の展示品を目の前で見られる体験は迫力があります。
《第2の人型棺》
最奥には、有名な黄金のマスク。実物が来日した1965年は遠い昔の話で、現在では実物がエジプト考古学博物館(カイロ)から出ることは、ほぼ考えられません。
その奥では、巨大スクリーンで王位を継いだツタンカーメンの人生を紹介。映像と連動した音声ガイドが聞けますので、スマホとイヤホンを持参してお楽しみください。
《黄金のマスク》
展覧会の第1章は「ツタンカーメンの青春」。両親が近親婚だったツタンカーメンは、生まれつき左足が内側に曲がった「内反足」でした。王墓からは杖やその一部が130本も発掘されており、日常的に使っていたと考えられています。
第1章「ツタンカーメンの青春」
第2章は「古代エジプトの死生観とミイラ」。古代エジプトでは、死は終わりではなく、地上の生活から来世への移行とみなされていました。每年、氾濫しては肥沃な大地をもたらすナイル川の存在が、その死生観に結びついています。
第2章「古代エジプトの死生観とミイラ」
第3章は「古代の神聖な文字ヒエログリフ」。古代エジプトの象形文字であるヒエログリフ。壁と床を埋め尽くすヒエログリフの映像空間で、基礎知識や解読方法が紹介されています。
第3章「古代の神聖な文字ヒエログリフ」
第4章は「古代エジプトの信仰」。もともと古代エジプトの宗教は、多くの神々を崇拝する「多神教」でした。ツタンカーメンの父であるアクエンアテンは、太陽円盤の神であるアテンのみを崇める一神教にしましたが、民衆が反発。ツタンカーメンは多神教に戻しています。
第4章「古代エジプトの信仰」
考古学者のハワード・カーターがツタンカーメンの王墓を発見してから、昨年でちょうど100年となりました。
最新テクノロジーを駆使した空間で、これまでの100年で行われてきた展示とは異なる体験をお楽しみください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2023年6月29日 ]