「超複製品」の展示と「本物」をスキャニングした高精細デジタルデータによる映像没入体験で古代エジプト文明とツタンカーメンの素顔に迫る
2022年は、考古学者のハワード・カーターが1922年にツタンカーメンの王墓を発見してから100年という記念の年でした。ピラミッドと古代エジプト文明は今も様々な研究、発掘がされ、新しい発見も相次いでいます。本展覧会では、世界で最も有名な王の一人であるツタンカーメンに迫ります。
展覧会のコンセプトは「HISTORYはSTORYだ!」。歴史(HISTORY)の中には物語(STORY)があるという考えに基づき、3000余年前の歴史上の人物として捉えがちなツタンカーメンを、生身の人間として捉え、その時代にどう生きて何を思ったかを豊かに想像できる展示空間を創出します。
ツタンカーメンは、父・アクエンアテンの後をわずか8~9歳で継ぎ、19歳で亡くなったとされています。彼が王・ファラオとして即位した期間は、人生の中で青春と呼ばれる期間に重なります。青春時代を王として過ごした若きファラオの短い生涯は一体どのようなものだったのか。
その時代を生きた生身の人間であることを根底に置き、少年王の生き様と物語を、精緻な複製品の数々と最新デジタル技術の融合によって追体験します。これまでの100年で行われてきた美術展示とは一線を画す101年目のツタンカーメン展は、彼の新しい100年の1歩目として、歴史とテクノロジーを融合させた体感型の展覧会となります。
本展覧会には、本物の発掘品、美術品はありません。展示されるのは、世界に3セットしかない「超複製品(スーパーレプリカ)」です。有名な黄金のマスクや玉座のほか、ツタンカーメンの王墓に収められていた副葬品のうち約130点を精巧に再現したものです。レプリカならではの展示方法で様々な秘宝を目の前で見ることができます。
また本展では、古代エジプトを“体感”する展示を行います。会場内の大空間では、壁と床にプロジェクションマッピングを投影。古代エジプトの創生から神々の変遷をたどるとともに、ツタンカーメンの生涯を目で、耳で、身体で感じるデジタルコンテンツです。また、エジプトから門外不出となったツタンカーメンのマスクや厨子といった副葬品の数々を、「ワールド・スキャン・プロジェクト」の最新技術による高精細3Dスキャンデータから本展覧会のために映像コンテンツ化し、超大型スクリーンにデジタル展示。来場者はその展示物をNFTアートとして持ち帰ることができます。
その他にも、1922年にハワード・カーターとそのパトロンであったカーナヴォン卿が体験した“世紀の発見”を来場者が追体験できるインタラクティブな空間展示や、王墓の再現、若きファラオの生活を想像し体験できる「ツタンカーメンの日常」、一神教と多神教の間を揺れ動いた古代エジプトの神々の展示、古代エジプトの死生観やミイラを解説するエリア、象形文字「ヒエログリフ」の読み方解説など、多彩な展示を行います。