『Michi』『の』『怪物園』(すべて福音館書店)など、個性的な絵本で知られる画家のjunaida(ジュナイダ、1978-)。ヨーロッパを感じさせる世界に人物や背景を細密に描き込んだ作品は、明るさと闇が共存し、junaidaならではの独特の世界観を生み出しています。
国内外で絵本の賞を立て続けに受賞するなど、華々しく活躍するjunaidaの、初めての大規模な展覧会が、PLAY! MUSEUMで開催中です。
PLAY! MUSEUM junaida展「IMAGINARIUM」会場入口
展覧会は、会場入口の「輪郭の扉」からスタート。上部の布の内側には、今回の展覧会のために描かれた三連画の新作「IMAGINARIUM」の下絵データがあしらわれています。奥の扉を開けて進みます。
「輪郭の扉」
第1章「交錯の回廊」では、初期作品の『TRAINとRAINとRAINBOW』(Hedgehog Books、2011)、三越のクリスマスディスプレイの作品『HOME』(サンリード、2013)などが、円弧上の壁面に並びます。
第1章「交錯の回廊」
さらに進むと、絵本『怪物園』の怪物たちが、巨大なアニメーションになって行進。映像作家の新井風愉が監督を務めました。
怪物たちが進む、巨大なアニメーション
展覧会のメインといえるのが、第2章「浮遊の宮殿」。宮殿の大広間のようなしつらえに、約100点の絵本原画が並びます。
展示されているのは、絵本デビュー作となった文字のない絵本『Michi』、すべての文が「の」で連なる絵本『の』、近作『怪物園』と『街どろぼう』。奥の3点が、新作「IMAGINARIUM」です。
第2章「浮遊の宮殿」
第2章「浮遊の宮殿」 絵本『の』原画
第3章「残像の画廊」は、白い展示室。宮沢賢治へのオマージュ作品「IHATOVO」シリーズや、広告のイラストレーションのほか、伊坂幸太郎、有栖川有栖、川上弘美らによる小説の装画など、多彩な仕事が並びます。
第3章「残像の画廊」
最後の第4章「潜在の間」は、一転して真紅の空間。ミヒャエル・エンデ『鏡のなかの鏡』をオマージュした最新作『EDNE』や、画集『UNDARKNESS』 (Hedgehog Books、2021)など4作品の原画です。
明るい表現だけでなく、美しい闇の世界も得意とする、junaidaならではの作品群です。
第4章「潜在の間」
ミュージアムショップではオリジナルのミュージアムグッズを多数用意。ぬいぐるみやポーチをはじめ、ウォーターボトル、「KUTANI SEAL」の九谷焼カップ。ファッションブランド「Kiwanda」とコラボレーションしたソックスなど、さまざまなアイテムが揃いました。
PLAY! SHOP
カフェでは、いつもと同じように展覧会コラボメニューが登場。「怪物ギョロギョロプレート」「『の』の子の帽子のハンバーグのセット」「王様のビーフストロガノフ」など。どれも可愛いデザインで、食べるのがもったいなくなりそうです。
CAFEのコラボレーションメニュー
絵の中から、物語が溢れてきそうなjunaidaの作品。ひとつひとつの絵も密度が濃いのに加えて、なんと展示作品は全416点。まさに、絵を浴びるように体感できる展覧会です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2022年10月6日 ]