千葉県市原市を舞台にした芸術祭「いちはらアート×ミックス2020+」が2021年11月19日(金)に開幕。スタート直後に足を運びました。
当初は2020年春の開幕予定でしたが、コロナ禍で1年延期に。今春の開幕も見送りになりましたが、さらに約半年を経て、待望の開幕です。
奥能登や北アルプスの芸術祭と同様、のぼりが芸術祭の目印です。
会場は大きく分けて9つのエリアで展開されています。それぞれのエリアで、印象に残った作品を紹介していきましょう。
1.五井エリア
芸術祭のインフォメーションセンターがある五井エリア。鑑賞はここからスタートする方が多いと思います。
最初に紹介するのは、黒い箱状のボードに備え付けのペンで文字や絵を描くと、内側のライトの光で輝く作品。暗くなってから見ると、美しさが際立ちます。
チョアン・チーウェイ(荘志維)《鉄道上の集団記憶》
2.牛久エリア
牛久は昭和の面影を残す、古い宿場町の商店街。ここにもインフォメーションセンターがあります。
ガラス造形作家の柳建太郎は、千葉の印旛沼にある作家自身の工房「アトリエ炎」を商店街に移設しました。繊細な作品ですが、どれも可動式になっているのが驚きです。
柳建太郎《KINETIC PLAY》
商店街の安藤洋品店(Andou Plaza)の2階では、洋品店を営む夫婦を取材したインスタレーション作品が展開中。
鑑賞した後に1階を覗くと、創作のもとになった両者がいて、安藤夫人が笑顔で話をしてくれました。
中﨑透《Clothing Fills in the Sky》
3.高滝エリア
市原湖畔美術館がある高滝。美術館は土曜と祝前日は19時まで開館しており(日曜と祝日は18時まで)、昼とは違った雰囲気を楽しむ事ができます。
KOSUGE1-16《Heigh-Ho》
美術館で行われている展覧会は「戸谷成雄 森 ― 湖:再生と記憶」。戸谷成雄はチェーンソーで木を彫り刻む作品で知られる、日本を代表する彫刻家です。
存在感のある作品が、美術館の巨大なヴォイド(アトリウム空間)に映えます。
「戸谷成雄 森 ― 湖:再生と記憶」
4.平三エリア
3回目となる「いちはらアート✕ミックス」で、平三エリアは今回から追加されました。廃校になった旧小学校に作品が並びます。
こちらはSNSにも良く投稿されている人気の作品。作家が市原市を視察した時に見た、やさしい町のあかりからの着想です。
栗真由美《ビルズクラウド》
子どもの頃には「夢を見ろ」と言われますが、まるで賞味期限があるかのように、大人になると夢を意識しなくなります。
こちらは、大人も夢を捕まえにいく体験ができる作品。現地にいた作家のキム・テボン(金泰範)さんに、ポーズをお願いしました。
キム・テボン(金泰範)《ドリームキャッチャー》
配膳室のダムウェーターを使い、タロットカードの「The Tower」をイメージした作品がこちら。
1階~3階まで作品が続き、最後の3階ではちょっとドキッとします。
冨安由真《The TOWER (Descension To The Emerald City) / 塔(エメラルド・シティに落ちる)》
5.里見エリア
里見エリアも旧小学校が舞台です。
こちらは、房総のおかしとお茶を食べながら、作家から房総のはなしを聞くことができるという楽しいイベント(実施される日には限りがあります)。
イベントの内容もさる事ながら、洗練された空間デザインが印象的。どこかで、常設営業して欲しいと思いました。
EAT&ART TARO《おかしのはなし》
体育館にあるのは、コロナ禍で活動の変化を余儀なくされた、世界194組のアーティストたちが投稿した動画を一堂に集めた展示。
今年の4月に市原湖畔美術館で展示された「Artists' Breath」を再構成したものです。
高橋啓祐《Artists' Breath Playback》
牛久の紹介で書いたように、地域を巻き込んだ芸術祭では地元の方の話を聞くと、より楽しく鑑賞できます。ちょっと勇気がいりますが、見るだけの鑑賞とは100倍くらい差があるので、強くおすすめします。
レポートは2回に分けてご紹介します。紹介できなかった作品も含めて、ここまでの動画もまとめました。
[ 取材・撮影・文:M.F. / 2021年11月20日~21日 ]
→ いちはらアート×ミックス2020+(レポート その1)
→ いちはらアート×ミックス2020+(レポート その2)
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