2013年に21_21 DESIGN SIGHTで開催され、その後全国6カ所を巡回し累計116万人を動員した展覧会「デザインあ展」。虎ノ門ヒルズ内のTOKYO NODEにて、アップグレードした展覧会が新たにはじまりました。
展覧会は、NHK Eテレで放送中の人気番組『デザインあneo』の世界観を、体験型の展示として表現しています。

TOKYO NODE GALLERY 「デザインあ展 neo」会場入口
会場内は『あるく』『たべる』『すわる』『もつ』などの動詞ごとに、35点の作品が展示されていますが、ここではその中からいくつかをご紹介していきます。
入口に入ると、先ず目に留まるのは天井から吊り下げられた巨大な「あ」の文字。その下には、道具を扱うさまざまな日常の行為を想像させる「動詞の庭」が広がっています。

「デザインあ展 neo」会場
A・B・Cの3本の線の中から実際の横断歩道の幅に最も近いものを探しながら、会場の先へ足を運ぶと『たべる』の展示エリアへと進んでいきます。
お箸やフォーク、スプーンや手で“たべる”を表現している「ひとくち あーん」。つまむ、すくう、にぎる、ちぎる、など人が食べる際に行う動作を思い起こさせます。隣に並んでいるのは、触感をあらわすオノマトペのピースを食べ物のフォーマットに当てはめる「オノマトピース」です。

「ひとくち あーん」

「オノマトピース」
続いては『すわる』エリア。「えらそうなイス」では、古くから権威を表す道具として使われていた椅子に焦点を当てて“偉い人”の気分を味わうことができます。
公共で使用されるベンチや社長の椅子、ビーチチェアなどさまざまな用途のある椅子。将来のなりたい形を語り合っている学童イスも展示されています。

「えらそうなイス」

「学童イスのゆめ」
手の大きさは人によって異なるため、最適と感じるモノや道具のサイズもそれぞれ異なります。『もつ』エリアの展示「もちごこち」では、大・中・小の道具の中から、自分にとって最も使いやすいサイズを確かめることができます。
「もちはこびトライアル」は、ちくわ・フライパン・ギターといったユニークなアイテムを、パイプに当てないよう慎重に運ぶ体験型のゲームです。パイプに触れると、点滅とともに「あ」という音が鳴り、注意を促します。参加者は身体の動きに集中しながら、ゴールを目指します。

「もちごこち」

「もちはこびトライアル」
『さがす』エリアの展示では、穴の開いたカラフルでさまざまな形のシートを使い、それにぴったり一致するピンの位置を探し出します。形を認識する力や観察力が試されるような体験です。

「じっくりしっくり」
会場内には、来場者がデッサンを楽しめるエリアも用意されています。イーゼルにセットされた用紙に、モチーフを観察しながらデッサンを行います。完成した用紙をスキャンすると、デッサンが会場内のスクリーンに映し出されます。
また「デッサンあ特設サイト」では、これまで各会場で描かれてきたデッサンの作品をオンラインで閲覧することもできます。

「デッサンあ」
「DO IT!」では、道具を持っている感覚を体験しながら、文字や映像に合わせて身体を動かします。リズミカルな音楽とDJのノリの良い声に合わせて挑戦することができます。

「DO IT!」
展覧会の総合ディレクターの佐藤卓さんは「テレビでは、目と耳を使って情報を得るものだが、展覧会だと身体全体で体験することができるのも、見どころのひとつ。日常生活には深く関わっているデザインに関して、面白い、デザインが世の中を豊かにしていく力があるといったことも感じてもらえたら嬉しい」と語っています。
展覧会は国内巡回予定なく、TOKYO NODEでの開催のみです。この機会に足を運んでみてはいかがでしょうか。鑑賞後もショップや、虎ノ門ヒルズ内のカフェ・レストランでのコラボメニューなどでデザインを感じることができます。
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 / 2025年4月17日 ]