展覧会概要
会場入口
「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」が、始まりました。
横尾忠則といえば、グラフィック・デザイナー、イラストレーター、アンダーグラウンドのイメージが強く、「画家・芸術家」というより、マルチタレントのように思っていました。
今展では、680点以上(驚異的)の作品により、これでもか!というほど、横尾ワールドを楽しめます。作品点数は多いですが、展示のまとまりが良いので、最後まで飽きずに見ることができます。最近では、インターネット上に「WITH CORONA」シリーズを発表しており、その制作スタイルの幅広さにも驚きました。
第1章 原郷から 1936-1960
展示室風景
横尾忠則の幼少期から東京に出るまで(~1960)の作品に混ざって、後年に制作された当時を回想した作品がオムニバスのように並んでいます。子供時代の作品を見ると、絵が上手だったことがわかります。
《想い出と現実の一致》1998年 富山県美術館
セピア色の画面に人物と惑星が混在して描かれた不思議な作品です。タイトルには、想い出と現実とありますが、さて現実はどのあたりでしょうか。
第2章 越境 1960-1981
《TADANORI YOKOO》1965年 京都国立近代美術館
このあたりから、劇団状況劇場や天井桟敷のポスターなど、横尾忠則と聞いて、すぐに連想できる作品が出てきます。
展示風景
「プロセスの提示」のコーナーで面白い作品を見つけました。作品の厚みと作品の下の影がわかるでしょうか。版画の版をレイヤーで見せる工夫をしています。この種類の作品はこれ1点だけでした。
展示風景
展示風景
続く、「ピンクガールズ」、「アンリ・ウッソー・ヨコオ」では、作品の密度が飛躍的に高まります。展示壁面を埋め尽くす光景は、とても迫力があります。
第3章 幻境 1981-2000
展示風景
この章でひときわ目を引いた作品が《滝のインスタレーション》(1999-2021 作家蔵)です。床がミラー仕様になっていて、中に入ると、まるで空中散歩しているような気分です。
展示風景 中央が《Kusanagi No Tsurugi》
日本の古典に題材をとった《Kusanagi No Tsurugi》(1985 作家蔵 (横尾忠則現代美術館寄託))に描かれている剣は、名古屋の熱田神宮のご神体だそうです。教えていただいて、驚きました。
他に、赤を多用した作品を集めた「赤の魔宮」のコーナーなど、いろいろと仕掛けが多い章です。
第4章 現況 2000-現在
《暗夜光路 赤い闇から》2001年 東京都現代美術館
「Y字路」のシリーズを見ていると、現実の景色なのか、架空の景色なのか、この世とあの世の境目を見ているのか、不思議な気持ちになります。
展示風景
展示風景
最後の展示室は、たくさんの猫(飼い猫だったタマ)の作品と、日本の作家の肖像画で埋め尽くされています。それまでの大型作品とは異なる親近感を感じる作品でした。
ご紹介したい作品は、他にもたくさんありますが、続きは美術館で、ぜひ実物を見ていただきたいと思います。
ミュージアムショップ
ミュージアムショップの様子
オリジナルデザインのマスク
今や、日常生活で必需品となったマスク。横尾忠則オリジナルデザインもあります。 ちょっと使い捨てできそうにありません。
なお、展示室内の写真は、特別に許可を得て撮影したものです。
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2021年1月16日 ]
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