筒描とは、筒に入れた糊を布の上に絞り出して模様を描く染色技法です。糊を置いたところは防染され、染料である藍に浸けると、この部分が模様として染め抜かれます。江戸時代中期から明治時代を中心に全国へ拡がった筒描技法は、晴れの場を彩る木綿の布団地や夜着、風呂敷、幕などに用いられました。松竹梅や鶴亀といった吉祥模様を中心に、家紋や茶道具など様々な模様を見ることができます。
型染めや絞り染めなど、布に模様を施す技法は複数ありますが、筒描の特色は、下絵に沿って手描きで模様を描く点です。筒袋などに入れた糊を細い口から絞り出し、慎重かつ大胆に模様を描くことで、独特の自由さや躍動感を生み出しています。
本展では、染織家・村穂久美雄氏のコレクションを中心に、日本各地で使用されてきた筒描による染色作品を約60点ご紹介します。布全体をひとつのキャンパスとするような、力強く大胆な構図や、生き生きとした描線からなる筒描の魅力をお楽しみください。
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