「すみだ向島EXPO2024」が始まりました。
すみだ向島エリア(東京都墨田区 京島・八広・文花 ほか)で開催される、社会実験であり、まちづくりであり、アートプロジェクトで、2020年から毎年開催されています。今年は総勢100組を超えるアーティストが参加し、約1か月の会期中に作品の制作・展示、観客参加型のパフォーマンス、イベントなどが行われます。
本年度のEXPOは出張料理人のソウダルアをコンセプターとして迎え、すみだ『 』EXPOー あなたが見つけた『それ』はきっとアートです ーをコンセプトに、EXPOの参加者それぞれが、空白の括弧『 』の中を自由な発想と想像力で埋めていけるというユニークな仕組みを提案しています。
ソウダ・ルア オープニングのフード・インスタレーション
今年のテーマは、「花」と「森」です。
すみだ向島エリアのまち並みを「森」と見立て、参加するアーティストがそれぞれの作品でまちに「花」を添える、祝祭感のある1か月を繰り広げます。 また、展示作品の鑑賞だけでなく、開催エリアのまち並みにも目を向けてください。明治時代の頃からのレトロな面影、下まちの情緒がそこかしこに感じられます。
会期初めは、まだ制作途中の作品もありますが、中旬以降、段々と展示の全体像が見えてくると思います。
開幕日は、あいにくの雨でしたが、多くの来場者でにぎわいました。それでは、展示の一部をご紹介します。(展示エリア以外には立ち入らないよう要注意。一般の方たちが暮らしています。)
総合受付のある京島駅には、アーティストコレクティブ「京島駅」の展示があります。メンバーの久保寛子の作品は、スフィンクスを横から見た全身像です。天井に届くほどの大きさですが、厚みがないので、見た目はとても軽そうです。スフィンクスの表情は、優しく、穏やかに見えます。背景には黄色のメッシュが広げられ、立体感のない彫刻に、ザラザラとした触感を醸し出しています。視覚と触覚の両方に働きかけてくる作品なので、絵画と彫刻の混ざり合った不思議な印象を受けます。
展示風景 久保寛子
福島直樹の「紡ぐ記憶」は、様々なサイズの風景写真をランダムに並べたものです。余白を広めにとり、空虚感を強く感じさせる作品です。自分のルーツを探る中で、検索しても見つからないまちの記憶と歴史を結び付けようとする試みです。記憶と記録の微妙なずれ、誰にでもありそうな経験が作品の通奏低音になっています。
展示風景 福島直樹
午後6時からは、小畑亮吾の「夕刻のヴァイオリン弾き」が始まります。本EXPOの会期中(10/5-11/3)の毎日、三角長屋の2階からヴァイオリンと歌の生演奏で、まちに午後6時を知らせます。演奏中は観客で路地が溢れます。それぞれに、リズムに合わせ、体を揺らし、楽しそうにしています。
小畑亮吾 《夕刻のヴァイオリン》
その他にも、上野雄次、ウェンデリン・ファン・オルデンボル、中里和人、陳奕彰(シユウ・ウェンチン)、西尾美也など、注目の作家が目白押しです。 また、ワークショップや、まち歩きガイドツアーなども企画されており、興味がある方は、より深く、本EXPOを楽しむことができます。
それでは、皆さん、晴れた秋の休日に東京の下まち散歩はいかがですか。
なお、会期中の火、水、木曜日は本EXPOの定休日となりますので、ご注意ください。(写真提供:すみだ向島EXPO 2024 PR事務局)
[ 取材・撮影・文:ひろ.すぎやま / 2024年9月27日 ]