びちゃ
初期の作品は正確に細かく描き込まれていて、画面に緊張感があるのも伝わってくるが、正直上手い若手作家という印象が拭えない。近作の方が伸びやかで個性がよく出ている。VOKA展で大賞を受賞しているとのことで、毎度思うのは、初期作品を見て、よくこの才能を見抜けるなあと、審査員の見る目に関心してしまう。
近作は、少ないアプローチで風景を表現するため綿密に画面構成を考えて、制作しているのではないかと思われ、そのために緊張感が残っていると思うが、初期とは異なり、対象に対する目線が優しいと思う。それが鑑賞者の安心感や穏やかな気持ちにさせる要因だと思う。
ストロークが少なく、薄塗りなので、ポスターや写真で代用できそうだが、実物を身近において、日々眺めるのに適した絵画なのではないだろうか。