京都西北に位置する嵯峨(さが)は、古くより風光明媚な王朝貴族の遊覧の地として愛されてきました。平安時代初期に、嵯峨天皇(786-842)はこの地に離宮・嵯峨院を造営し、空海(774-835)の勧めで持仏堂に五大明王像(現存せず)を安置します。その後、貞観18年(876)に皇女・正子内親王の願いにより寺に改められ、大覚寺が開創されました。
来たる令和8年(2026)に開創1150年を迎えるのに先立ち、優れた寺宝の数々を東京国立博物館で一挙にご紹介します。なかでも、寺内の中央に位置する宸殿は元和6年(1620)に後水尾天皇へ入内した和子(東福門院)の女御御所を後に移築したものと伝えられており、内部を飾る襖絵や障子絵などの障壁画は、安土桃山~江戸時代を代表する画家・狩野山楽(1559-1635)の代表作として一括して重要文化財に指定されています。
本展ではこれら120面を超える障壁画のほか、信仰の歴史を物語る歴代天皇による書の数々や、平安時代後期の仏像を代表する明円作「五大明王像」(重要文化財)など、密教美術の名品も公開します。
※会期中、一部作品の展示替えを行います。
前期展示:1月21日(火)~2月16日(日)/ 後期展示:2月18日(火)~3月16日(日)