大河ドラマの影響もあり、今、再び注目を集めている浮世絵。その流れを受けて、イマーシブ(没入型)展覧会でも浮世絵を題材とした新たな試みが始まりました。
舞台となるのは、これまでにも数々の高品質なイマーシブ展示を手がけてきた角川武蔵野ミュージアム。浮世絵の世界を五感で体感する展覧会が開催中です。

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場入口
浮世絵は、江戸時代に生まれた庶民のメディア。とくに明和2年(1765年)に多色刷りの錦絵が登場すると、その鮮やかな表現力によって一気に人々の心をつかみました。
本展では、葛飾北斎、歌川広重、喜多川歌麿、東洲斎写楽、歌川国芳など、といった名だたる絵師の傑作(浮世絵師以外の作品も含みます)が、最新のデジタル技術によって現代に蘇ります。高精細映像による壮大なインスタレーションとして目の前に立ち現れます。

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より
同ミュージアムでは、これまでにも「浮世絵劇場 from Paris」(2021年)、「ファン・ゴッホ―僕には世界がこう見えるー」(2022年)、「サルバドール・ダリ ― エンドレス・エニグマ 永遠の謎 ―」(2023年)、「モネ イマーシブ・ジャーニー 僕が見た光」(2024年)と、体感展示を毎年開催。
今回は「ファン・ゴッホ」展以降の作品を手がけてきたジャンフランコ・イアヌッツィがクリエイティブディレクターを務め、日本の伝統美術を題材にした完全新作となりました。

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より
「体感型デジタルアート劇場」と銘打たれた同館のイマーシブ作品は、33台の高輝度プロジェクターを駆使し、1000㎡を超えるグランドギャラリーを360度の映像と音響で包み込む構成。今回も、壁も床もすべてがスクリーンとなる没入感たっぷりの空間が広がります。

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より
音楽はヴァイオリニストの竜馬が担当。ストリングスやピアノに和楽器を融合させ、江戸と現代をつなぐ独自の世界が映像とシンクロし、時を超えて浮世絵の世界を旅するような感覚を味わえます。
さらに今回からは、池上彰館長によるナレーション付きの音声ガイドが体験可能に(無料)。自身のスマートフォンとイヤホンを使って、より深く作品世界に入り込むことができます。
会場では、30分おきに上映。毎時0分スタートの回は、館長の解説版付きの作品が上映されます(再入場も可能です)。

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より

角川武蔵野ミュージアム「浮世絵 RE:BORN」会場より
時代を越えて、今を生きる私たちに語りかけてくる浮世絵。その新たな魅力に、映像と音楽で出会う贅沢な時間を過ごせそうです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2025年4月24日 ]
Design and Creative Direction: GIANFRANCO IANNUZZI
Multimedia Content Production: KARMACHINA
© 角川武蔵野ミュージアム