日本が世界に誇るカルチャーとして、すっかり市民権を得たマンガやアニメ。
都市〈東京〉を映し出してきた日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品と、と、それらフィクションを注入された現実の〈東京〉を紹介する展覧会が国立新美術館で開催中です。
展覧会は2018年にパリで開催された『MANGA⇔TOKYO』展の凱旋展。パリでは来場者が3万人を超えるなど、高く評価されました。
会場に入ると、まず目に入るのが「1/1000巨大東京都市模型」。幅約17メートル、長さ約22メートルの巨大な東京の都市模型です。展示はこの模型を囲むように進んで行きます。
「1/1000巨大東京都市模型」
会場は大きく3部構成で、セクション1は「破壊と復興の反復」。日本のマンガ・アニメ・ゲーム・特撮作品で、東京が壊滅的に破壊されるのは、ある意味でお約束です。
実際の東京も関東大震災や東京大空襲など、大きな被害を何度も受けながら、力強く立ち直って来た歴史があります。
ここで紹介されているのは、大友克洋「AKIRA」、「エヴァンゲリオン」シリーズ、「ゴジラ」など。これらの作品で指摘されているように、近い将来、また東京は大きな被害に見舞われるのでしょうか。
セクション1「破壊と復興の反復」
セクション1「破壊と復興の反復」
セクション1「破壊と復興の反復」
セクション2は「東京の日常」。セクション1で紹介した「破壊」と「復興」の間には、普通の人々による日常生活があります。
ここでは江戸時代から現在まで3区分にわけて、日常生活を描写した作品を紹介。
杉浦日向子「百日紅」、北条司「シティーハンター」、羽海野チカ「3月のライオン」などに、人々の生活の場としての東京の姿が描かれています。
セクション2「東京の日常」
セクション2「東京の日常」
セクション2「東京の日常」
セクション2「東京の日常」
セクション3は「キャラクターvs.都市」。ここでは、マンガやアニメなどから生まれたキャラクターが、実際の東京に現れている例が紹介されています。
亀有の駅前で銅像になったのは、秋本治「こちら葛飾区亀有公園前派出所」の両さん。神田明神は「ラブライブ!」ファンの『巡礼』に応えるために、コラボグッズなどを販売。マンガの流通経路としても機能しているコンビニエンスストアでは、「初音ミク」など人気作品とタイアップしたキャンペーンも展開されています。
セクション3「キャラクターvs.都市」
セクション3「キャラクターvs.都市」
セクション3「キャラクターvs.都市」
展覧会は当初は9月までの予定でしたが、新型コロナの影響で開幕が延期に。11月3日(火・祝)までの開催です。
事前予約制(日時指定券)が導入されていますので、ご注意ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年8月11日 ]