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    レポート
    開館50周年記念 美の祝典Ⅱ― 水墨の壮美
    出光美術館 | 東京都
    中国への憧憬、日本での発展
    三部に分けて開催されている出光美術館の開館50周年記念展「美の祝典」、第二部は「水墨画」です。墨の濃淡を利用して描く技法は中国由来ですが、日本ならではの繊細な感覚が加わり、大きく発展していきました。
    《竹鶴図屏風》長谷川等伯 桃山時代
    (左から)重要文化財《平沙落雁図》牧谿 中国・南宋時代 / 重要文化財《山市晴嵐図》玉澗 中国・南宋時代末期~元時代初期
    重要文化財《四季花鳥図屏風》能阿弥 応仁3年(1469)
    重要美術品《北野天神縁起絵巻》室町時代
    国宝《伴大納言絵巻》(中巻)平安時代
    《西湖図屏風》(右隻)狩野元信 室町時代
    (左から)重要美術品《春山閑居図》岡田半江 天保13年(1842) / 《新緑帯雨図》青木木米 文政9年(1826) / 重要文化財《雙峯挿雲図》浦上玉堂 江戸時代
    重要文化財《籠煙惹滋図》浦上玉堂 江戸時代
    重要文化財《山水図屏風》与謝蕪村 宝暦13年(1763)
    館蔵の絵画作品から厳選した優品を紹介する本展。第二部も出品35件のうち国宝1点、重要文化財11点、重要美術品5点という豪華版です。

    会場に入ると、右手に牧谿の掛軸が2点。南宋時代の僧である牧谿は、中国での評価は高くありませんが、湿った空気まで描くような繊細な表現は日本で好まれ、多くの追随者を生みました。

    奥には屏風が3点ありますが、いずれも牧谿からの影響が顕著。能阿弥《四季花鳥図屏風》は、禽獣がすべて牧谿の画からの引用。長谷川等伯《竹鶴図屏風》も、左隻の図様は牧谿の作品から。同じく等伯の《松に鴉・柳に白鷺図屏風》も、右隻の松が牧谿のスタイルです。


    水墨画の優品がずらり

    出光美術館では10年ぶりに公開されている国宝《伴大納言絵巻》。第二部では中巻が紹介されています。

    中巻のクライマックスといえるのが、子どもの喧嘩。親の加勢に腹を立て、「放火の真犯人は伴大納言」という衝撃の新事実が明らかになります。

    喧嘩の場面は、異なった時間に起きた出来事を一つのシーンに描く「異時同図法」による描写。国宝《信貴山縁起絵巻》にも見られるように、日本の絵巻の特徴といえます。

    中巻も、群衆の描写が見事。天を仰ぐ、そっと耳打ちする、大声をあげる…。一人ひとりを見ていくと、時間が経つのを忘れてしまいます。


    国宝《伴大納言絵巻》(中巻)

    さらに進むと、奥に《西湖図屏風》。絵画の主題としてしばしば描かれる中国・杭州の西湖を大観的に描いたのは、狩野派を大成させた狩野元信です。

    会場後半は文人画です。中国の文人画への私淑から、日本では18世紀ごろから広まった文人画。日本文人画を京都で大成させた池大雅と与謝蕪村の屏風をはじめ、両者に続いて関西で活躍した浦上玉堂、青木木米、岡田半江、田能村竹田、尾張の山本梅逸、江戸の渡辺崋山による掛軸などを展示。文人画は、出光コレクションの一つの柱といえます。


    会場後半は文人画が中心

    盛大な50周年記念展ですが、三部構成という事もあり、一部ずつの会期は短めです。第二部も約1カ月間のみで、第三部には全ての作品が展示替えされます。お早目にどうぞ。

    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2016年5月12日 ]



    ■出光美術館 美の祝典 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2016年5月13日(金)~6月12日(日)
    会期終了
    開館時間
    午前10時~午後5時(入館は午後4時30分まで)
    休館日
    毎週月曜日(ただし月曜日が祝日および振替休日の場合は開館、翌日休館)
    年末年始および展示替期間
    住所
    東京都千代田区丸の内3-1-1 帝劇ビル9F
    電話 03-5777-8600 (ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/
    料金
    一般 1,000円/高大生 700円
    ※20名以上の団体は各200円引き
    ※中学生以下は無料(保護者の同伴が必要です)
    展覧会詳細 「開館50周年記念 美の祝典」 詳細情報
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