1995年度からはじまった「発掘された日本列島展」。このコーナーでは2012年から毎年ご紹介しています(2012年、2013年、2014年、2015年、2016年、2017年、2018年)。
今年は「記念物」が特集されている事もあり、会場入口には記念物が入った各地のポスターがずらり。記念物については後ほどご紹介する事とし、まずは注目の遺跡からご案内します。
ケカチ遺跡(山梨県甲州市)からは、和歌が刻まれた10世紀頃の土師器皿が出土しました。古今和歌集や土佐日記が書かれた時代に、地方まで仮名文字が普及していた事を示す、重要な発見です。
東宮遺跡(群馬県長野原町)は、江戸時代の1783年に起こった「天明泥流」で埋没した村の遺跡。堆積土の下からサイズが異なる下駄など、生々しい生活の痕跡が出土。家族構成も分かりそうです。
富山城下町遺跡(富山市)からは、幻の1940年東京オリンピック記念盃の破片が見つかりました。五輪マークの横の英文が「ORINPIKU」になっています(もちろん、正しくは OLYMPIC)。
特集1は「福島の復旧・復興と埋蔵文化財」。東日本大震災にともなう原発事故で大きな被害を受けた福島県沿岸の浜通り地域から15遺跡を取り上げ、この地の歴史文化にスポットをあてました。
特集2が、今年の目玉といえる「記念物100年」。文化財保護法の前身である「史蹟名勝天然紀念物保存法」が成立施行したのが、ちょうど100年前の1919年です。
そもそも、文化財保護法でいう「文化財」とは、有形文化財、無形文化財、民俗文化財、記念物、文化的景観、伝統的建造物群の6種類。良く聞く‘国宝’や‘重要文化財’は「有形文化財」に含まれますが、それ以外もさまざまなものがあるわけです。
「記念物」も、その6種の中のひとつ。歴史上または学術上価値の高い遺跡、芸術上または鑑賞上価値の高い名勝地、学術上価値の高い動物・植物・地質鉱物を指し、それぞれ「史跡」「名勝」「天然記念物」となります。
地域の宝といえる記念物は、グッズとしても利用されています。会場には記念物を使ったグッズもずらり。どこの家にも、ひとつやふたつは「記念物グッズ」があるのではないでしょうか。
巡回展の会場ごとに開催される地域展、東京会場は「道灌がみた南武蔵」です。戦国時代に江戸城を築いた太田道灌。2020年に向けた都内の開発で、道灌が活躍していた時期の遺跡も見つかりました。
今回も東京展からスタートし、2020年2月まで全国5カ所を巡回します。会場と会期はこちらです。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2019年6月1日 ]