宮崎駿や高畑勲監督とともに、これまで数々のアニメーション作品を世に送り出してきたスタジオジブリ・プロデューサー鈴木敏夫。鈴木敏夫とジブリの魅力を紹介する「鈴木敏夫とジブリ展」が横須賀美術館で開催中です。
会場では新章を含む7つの章立てで、鈴木がこれまで出会った書籍や映画の展示のほか、ジブリの人気キャラクターも登場します。
横須賀美術館「鈴木敏夫とジブリ展」会場
鈴木敏夫は、戦後間もない1948年に名古屋で生まれました。仲間とチャンバラや十字手裏剣で遊ぶヤンチャな小学生時代を送りながら、同時に夢中になったのが、漫画や小説、映画です。戦後の大衆文化のなかで、鈴木の想像力は育まれていきました。
18歳で上京し慶応義塾大学文学部卒業後、1972年に徳間書店に入社した鈴木。漫画の知識を買われて配属された編集部では、手塚治虫や石ノ森章太郎、ジョージ秋山など名だたる漫画家と付き合うようになります。
その後、日本初の本格的なアニメーション専門誌『アニメージュ』の創刊に参加。取材をしていく中で高畑勲や宮﨑駿らと出会い、関係を深めていきました。
第3章「アニメージュへの道~雑誌記事・編集者として~」
会場には、アカデミー長編アニメ映画賞を受賞した『君たちはどう生きるか』をはじめ、これまでの映画ポスターも並んでいます。
第4章「時代を読む眼~ジブリとメガヒットはこうして生まれた~」
ポスターやチラシ、テレビやインターネットなど、宣伝媒体は時代とともに変わっていきましたが、ジブリでは、一貫して新聞広告にこだわってきたことも分かります。
第4章「時代を読む眼~ジブリとメガヒットはこうして生まれた~」
鈴木の毎朝の日課は、コーヒーを飲みながら1時間かけてテレビ番組表を確認すること。好きな映画、これから観たい映画をチェックして、監督や俳優ごとにまとめてリストにしています。
今でも週に4、5本、多い時では1日に4本もの映画を観るという鈴木。福岡会場から新たに展示された映画コーナーでは、過去の名作から、隠れた一本まで約10,000作品を一挙に公開しています。
新章「鈴木敏夫の映画コレクション 約10000作品を一挙公開」
本の小路を通ったその先には、8,800冊の書籍が並んだ空間が広がっています。隠れ家「れんが屋」をモチーフにした部屋で、静かに読書をしているカオナシと一緒に、一部の書籍は手に取って閲覧することもできます。
第6章「鈴木敏夫の本棚~蔵書8800冊を一挙公開~」
会場内ではトトロや約3mもの巨大な湯婆婆も登場します。湯婆婆・銭婆の口に手を入れて札を引く「恋愛・開運おみくじ」も体験することができます。
会場の最後は『千と千尋の神隠し』の「油屋別館」世界観を再現した華やかな特設ショップが開設されています。
「恋愛・開運おみくじ」
特設ショップ
サテライト会場として猿島航路「三笠ターミナル」では、カオナシになりきって撮影できるコーナーやお湯が沸いてくる「せんとうちひろAR」などの特別展示もあります。また、横須賀市内に8地点でのスタンプラリーも開催。横須賀を巡りながら、特製スタンプを集めるのもおすすめです。
「せんとうちひろAR」
©2022 Hayao Miyazaki / Toshio Suzuki ©Toshio Suzuki ©Studio Ghibli
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2024年3月19日 ]