ルース・スタイルス・ガネットによって1948年に出版された児童文学作品『エルマーのぼうけん』シリーズ。日本で初めてとなる「エルマーのぼうけん」を紹介する展覧会が、立川のPLAY! MUSEUMではじまりました。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 会場入口
『エルマーのぼうけん』『エルマーとりゅう』『エルマーと16ぴきのりゅう』の3つのシリーズは、日本で累計700万部を超えるベストセラー作品。9才の男の子・エルマーが、どうぶつ島にとらわれた“りゅう”のこどもを助けに行く冒険の物語です。
展覧会の空間構成を行ったのは、junaida展「IMAGINARIUM」も担当した建築家の張替那麻氏。桟橋のシーンは、これから起こる冒険への期待を感じさせる大切なシーンとして、会場にも使用されています。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 展示風景
どうぶつ島では恐ろしい動物たちが現れますが、エルマーはリュックにつめた様々な道具を使い、次々と前進していきます。シリーズ1作目『エルマーのぼうけん』の最後のシーンに登場する、ワニが連なっている様子も再現され、ワニの背中に飛び移りながら川を渡ることができます。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 展示風景
2作目の『エルマーとりゅう』は、どうぶつ島を脱出したエルマーとりゅうが嵐に遭いみかん島に降りたった際の物語です。
会場内では時折、動物の鳴き声や嵐の音、りゅうが羽ばたき空を飛ぶ音が聞こえて“音”からも物語の中へと没入することができます。また、りゅうの好物のみかんの皮が落ちていたり、原画のキャプションなどに羽や小石、枝が付けられていたりと、物語とリンクした細かな演出も楽しむことができます。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 展示風景
シリーズの挿絵を手掛けているのは、作者のルース・スタイルス・ガネットの義理の母で挿絵画家のルース・クリスマン・ガネット。今回、アメリカ・ミネソタ大学図書館のカーラン・コレクションが所蔵する約130点の原画が、日本で初公開となりました。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 展示風景
3作目『エルマーと16ぴきのりゅう』では、りゅうの子が自分の家のある高い山に囲まれた“そらいろこうげん”へ向かいます。しかし、人間に捕われ洞穴に閉じ込められていた15ひきのりゅう。エルマーとりゅうの子は、計画を立てて家族を救いだします。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 展示風景
奥に足を進めると、洞穴をイメージした空間に現れるりゅうの姿。光と音で洞穴から脱出するりゅうたちのさわぐ様子を演出しています。
手前のコントローラーを押すとりゅうに光があたり、全てのりゅうにあたり終えたところでレコードプレーヤーが起動。オーネット・コールマンの曲が流れるインタラクティブな仕掛けになっています。
PLAY! MUSEUM「エルマーのぼうけん」展 展示風景
ものがたりのスペースを抜けた後は、作者であるルース・S・ガネットについての紹介です。ガネットは作家としての活動を行っていたわけではありませんが、22歳の時に『エルマーのぼうけん』を出版します。
幼いころにガネットが書いたノートや手作りの本の原型、イラストや挿絵を描くために作ったりゅうの人形などの貴重な資料から、ガネットの人物を紐解いていきます。
りゅうのぬいぐるみ(中・小) ルース・S・ガネット 制作年不明
最後のスペースでは「ぼうけん図書館」を開館。冒険家や写真家、学者、スポーツ選手ら、各界の著名人100名が推薦する世界中の“ぼうけんの書”が並んでいます。
「ぼうけん図書館」
物語を知っている方はもちろん、知らない方でもストーリーを追いながら原作の魅力を楽しむことができる展覧会。
ミュージアムショップでは珍しく櫛や歯ブラシ、ソープなども販売をしています。ぼうつきキャンディーとリュックサックも揃えれば、あなたも冒険の準備は完璧です。
ミュージアムショップ
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2023年7月14日 ]