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    展覧会 岡本太郎
    大阪中之島美術館 | 大阪府


    「展覧会 岡本太郎」展示風景


    圧倒されて何から話そうか……。作品の量と質、色、形で体が飽和状態。 そんな満足感を味わえる「展覧会 岡本太郎」が大阪中之島美術館で7月23日(土)から始まりました。



    《明日の神話》1968年 川崎市岡本太郎美術館蔵


    太郎の表現活動は、絵画、彫刻、執筆など多岐にわたります。1996年に亡くなった今も彼の言葉に励まされ、絵画に影響を受けている多くの人がいます。実際「何が本職なのか?」と聞かれることが多かったそうで、その時には「人間そのもの」と太郎は答えていたとか。(展覧会のサブタイトル「本職?人間だ。」はここから取られています。)

    没後岡本太郎最大の回顧展。さぁ、会場内を案内しましょう。資料や含め約300点が年代順に6章構成で紹介されています。



    パリ時代の3点  右:《コントルポアン》1935/54年 東京国立近代美術館蔵 中:《空間》1934/54年 川崎市岡本太郎美術館蔵  左:《傷ましき腕》1936/49年 川崎市岡本太郎美術館蔵



    《露店》1937/49年 ソロモン・R・グッゲンハイム美術館蔵


    第1章ではパリ滞在期の作品を紹介します。残念ながらこの時代の作品は東京に持ち帰ったあと、戦火ですべて焼失。この時期の太郎の表現について知ることができるのは、1937年発行の第1画集『OKAMOTO』と戦後に再制作した初期作品4点からのみで、本展では、再製作されたその4点《空間》《傷ましき腕》《コントルポアン》《露店》が公開されています。

    特に太郎自身がNYグッゲンハイム美術館に寄贈した《露店》は約40年ぶりに里帰り。画面の奥に描かれている人物は《傷ましき腕》のリボンをつけた人物にも思えます。露店に並ぶ品物の鮮明さなど現実離れした世界はどれだけ見ても見つくせない魅力がつまっています。(これが見られただけでも十分に満足してしまいました。)



    右より《作品A》《作品B》《作品C》 3点とも推定 岡本太郎 1931-33? ユベール・ル ガールコレクション(パリ)蔵


    そしてさらなる見どころは、岡本太郎がパリ時代に描いたであろう3点が日本初披露されていることです。もしこれらが太郎の作品となれば、現存するもっとも古い作品になります。まさに歴史的な発見といえるでしょう。ゾクゾクします。



    《太陽の塔(1/50》1970 川崎市岡本太郎美術館



    太郎が手掛けた家具やファブリックなど


    第4章では『大衆の中の芸術』と題し、華やかで楽しく、身近に感じられるものが多く並んでいます。50年代、彼は芸術の外側の世界へ発信をはじめました。「芸術とは映画やテレビなどのように大衆の目にふれてこそ意義がある」とし、多くのパブリックアートを手がけていきました。また家具やコップやネクタイなどのグッズなどを手がけたり、テレビCMから「芸術は爆発だ!」という有名な言葉も生まれました。



    手前から《手―青》《手―赤》2点とも1981年 川崎市岡本太郎美術館蔵



    懐かしい人もいるのでは。近鉄バッファローズ関連資料 1987年 岡本太郎記念館蔵


    2004年まで存在したプロ野球球団 近鉄バッファローズのロゴマークも彼のデザインです。野球帽やイメージ画などから《太陽の塔》だけではない大阪と太郎の関係を知ることができます。残念ながら、ロゴが使用された最初の年、野球の成績はふるわなかったのですが、グッズはとても売れたそうです。



    「展覧会 岡本太郎」展示風景


    最終章では晩年の絵画を紹介しています。この時代の作品には、行方不明とされていた50年代の作品に上描きしたものもあることが、近年の研究でわかりました。


    《動物》1954年 (その後加筆) 岡本太郎記念館蔵


    上描きされた作品は、黒く大きな目が描き加えられたり、色遣いが派手になったりと、よりインパクトが強くなっています。若いころより、地球、宇宙?私たちを取り囲む大きなものを動かすぐらいなパワーがみなぎっています。展覧会担当の大下裕司学芸員は「自身の評価にあぐらをかくことなく、自分が自分を乗り越えるため」、過去ではなく「今だったらこう描く」とその時の自分を描いたのだろうと話します。

    本展では、元の作品とともに紹介されているので、ぜひ比較しながら鑑賞してください。



    《雷人》1995年(未完) 岡本太郎記念館蔵


    最後は、絶筆《雷人》が展示されています。体をひねりこちらを見る人には不気味ほど吸い込まれる力があります。この人が太郎を太陽に還したのではないか、ふとそんなことが浮かびました。



    1954年第27回ヴェネチアビエンナーレに出品された2点が約60年ぶりの再会 右:《森の掟》1950年 川崎市岡本太郎美術館蔵 左:《娘と犬》1953年 株式会社大林組


    館長の菅谷富夫さんは「漠然とした不安の中、今という時代、ここで生きる私たちは太郎の作品で力づけられる。今だからこそ太郎が必要なのだ」と話します。

    本展の魅力はここには書ききれません。岡本太郎をあまり知らない人もよく知る人も、ぜひ会場で体中に太郎を浴びてください。



    1937年発行の第一画集『OKAMOTO』から作品を原寸大に再現したもの。



    展覧会の内容に負けていない⁉ミュージアムショップも充実


    ©岡本太郎記念現代芸術振興団

    [ 取材・撮影・文:カワタユカリ / 2022年7月22日 ]


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    会場
    大阪中之島美術館
    会期
    2022年7月23日(土)〜10月2日(日)
    会期終了
    住所
    〒530-0005 大阪府大阪市北区中之島4-3-1
    電話 050-5541-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト https://taro2022.jp/
    展覧会詳細 「展覧会 岡本太郎」 詳細情報
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    特別展「岡本太郎」は大阪中之島美術館で開幕し、東京・愛知へ巡回。国際芸術祭「あいち2022」は7月30日に開幕します。彫刻家・名和晃平の国内の美術館で10年ぶりとなる個展は、十和田市現代美術館で開催されます。
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