「となりのトトロ」や「風の谷のナウシカ」、「千と千尋の神隠し」など数多くの作品を生み出しているスタジオジブリ。高畑勲、宮﨑駿監督と共に、数々の作品を世に送り出してきたのがスタジオジブリ代表取締役プロデューサーの鈴木敏夫です。
鈴木敏夫の幼少期から現在にいたるまでの足跡をジブリ作品とともにたどる展覧会が、はじまりました。
会場風景
鈴木敏夫は、1948年、名古屋市生まれ。少年時代、漫画雑誌はすべて部屋に溜め込み、暇さえあれば読んでいたと言います。会場には、まるで1950年代にタイムスリップをした様な四畳半の部屋を再現しています。
少年時代の記憶と理想を織り交ぜて再現した、四畳半の部屋
大学を機に上京した鈴木は、漫画だけでなく小説や映画にも没頭、多くの想像力を育んでいきます。
1972年に徳間書店に入社。漫画の編集部を経て、「宇宙戦艦ヤマト」のブームを受けて創刊された日本初のアニメーション専門誌「アニメージュ」の中心メンバーとして加わった鈴木は、取材先で高畑勲や宮﨑駿と出会います。
アニメージュ時代のユニークな人材活用や育成法も紹介
その後、徳間書店の子会社としてスタジオジブリを立ち上げ、42歳で取締役に就任します。時代の空気を読みながら、映画のタイトルやキャッチコピーなどの“言葉”を通して観客との架け橋をつくっていきました。
会場には、タイトル、コピー、ビジュアルの三位一体で考えられた映画のポスターの数々が展示されています。
鈴木敏夫の手がけたポスター
ポスターだけでなく、チラシやテレビ、インターネットなど時代とともに宣伝媒体は変わっていきますが、ジブリが一貫していた新聞広告にはこだわりを強く感じます。
新聞広告
今回の展覧会の見どころのひとつが、鈴木プロデューサーの隠れ家・れんが屋をモチーフにした巨大本棚です。子供時代から影響を受けた本と漫画8,800冊を展示した空間の真ん中では、カオナシが静かに読書をしています。
巨大本棚
最後の展示室では、東京展限定となる「千と千尋の神隠し」の世界観を再現した「油屋別館」が登場。「油屋別館」には、主人公・千尋の両親が食事をする屋台のセットやオリジナルグッズの販売も行っています。
湯婆婆と銭婆の口の中から札を引いて楽しむ「湯婆婆と銭婆の"開運・恋愛"おみくじ」も体験が可能です。
湯婆婆と銭婆の"開運・恋愛"おみくじ
油屋別館の中には夏にぴったりの冷やし足湯“せんとうちひろ”も設置。「冷やし足湯利用券&おみやげ手ぬぐい付きチケット」は数量限定のため、予約はお早めに。
冷やし足湯“せんとうちひろ”
11月1日には、愛知県の愛・地球博記念公園にジブリパークが誕生します。また、開園を一足早く楽しめる「ジブリパークとジブリ展」も長野を皮切りに巡回。各地のミュージアムでジブリの世界観を堪能してみては。
[ 取材・撮影・文:坂入 美彩子 2022年6月30日 ]
画像はすべて ©TS ©Studio Ghibli