日本のポップカルチャーを代表するサンリオ。サンリオが世に広めたといっても過言ではない「カワイイ」文化は、今では世界でも大きな注目を集めるまでに成長しました。
株式会社サンリオは、2020年で創業60周年。カワイイ文化の成立と発展、そしてその裏にあるサンリオの想いを、貴重なデザインや商品で紹介する展覧会が、東京シティビューで開催中です。
会場前の「サンリオ展 ニッポンのカワイイ文化60年史」広告
会場は冒頭から見せ場が登場。サンリオキャラクターのぬいぐるみなどを使った巨大なツリー「Unforgettable Tower」です。
制作したのは、日本のKAWAII文化の第一人者であるアーティスト・アートディレクターの増田セバスチャン。海抜250mの景色とともにお楽しみいただけます。
「Unforgettable Tower」
展覧会は6つのゾーンと10のテーマで構成されています。
最初は「Beginning of KAWAII」。1960年にサンリオの前身である山梨シルクセンターが起業。高度経済成長を迎えて人びとの暮らしが上向くなか、かわいくて人を感動させるビジネスに取り組んでいきました。
ZONE 1-1「Beginning of KAWAII」
続いて「Original Characters」。人気イラストレーターのデザインで商品をつくっていたサンリオですが、商品化を前提にしていないイラストの利用では、徐々に手詰まりを感じる事となります。
そこで、オリジナルのキャラクターを開発する事に。1974年に生まれたパティ&ジミーは、初期の人気キャラクターのひとつです。
ZONE 1-2「Original Characters」
「Sanrio Characters」からは、数々のサンリオキャラクターが登場、定番のキャラクターから、今ではちょっと懐かしく思えるキャラクターまで、見る人の年齢によって、それぞれのイチオシキャラクターがいると思います。
マイメロディは、赤ずきんちゃんの物語を動物で擬人化するアイディアから生まれたキャラクターです。
ZONE 2「Sanrio Characters」
「Gift」は、サンリオの商品について。サンリオは、普通の商品は作りません。作るのは、手に取る人が感動したり笑顔になったりする「ギフト」だけ。真の商品とは物ではなくメッセージであるという思いは、サンリオの信念といえます。
ZONE 3-1「Gift」
「Ichigo Shinbun」は、サンリオによるファン向けの機関紙「いちご新聞」。1975年4月から現在までずっと発行されています。
イベントや紙面を通じて、サンリオが「いちごメイト」と呼ぶ読者と繋がる、重要なツールです。紙面の巻頭には、「いちごの王さま」からのメッセージが、創刊時からずっと載せられています。
ZONE 3-2「Ichigo Shinbun」
続いて「Sanrio Shop」。サンリオにとってお店は、単に商品を売るだけの場所ではありません。
なかでも田園調布にあった「いちごのお家」は、サンリオファンの憧れの場所。当時としては珍しいドーム型の赤い屋根で、イタリア製の総タイル張りでした。
ZONE 3-3「Sanrio Shop」
次は、サンリオのシンボルでもある「Hello Kitty」。サンリオは現在までに400以上のキャラクターを作っていますが、デビュー以来、一度も消えずに第一線を走っているのはハローキティだけです。
当初は横向きだけでしたが、3代目デザイナーの山口裕子により自由なポーズが可能になると、その世界は大きく広がっていきました。
ZONE 4「Hello Kitty」 レディー・ガガが着用したドレスのレプリカ
続く「Original Art」では、各分野で活躍するアーティストによるオリジナル作品。本展のために制作されました。
彫刻家のはしもとみおさん、竹藝家の中臣一さんらの作品が目を惹きました。
ZONE 5「Original Art」
最後の「Message」では、マイメロディがご挨拶。これからの未来に向けたサンリオのメッセージをご紹介します。
ZONE 6「Message」
同フロアのカフェ「Museum Cafe & Restaurant THE SUN & THE MOON」には、食べられないようなかわいいコラボメニューも登場、公式ショップも充実しています。
サンリオファンにはたまらない展覧会になりました。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2021年9月16日 ]