「週刊少年ジャンプ」1994年19号から連載がスタートした、漫画作品『るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-(以下“るろ剣”)』。作者・和月伸宏氏による直筆原稿やカラー原画など、あわせて200点以上を一堂に集めて展示する大規模な展覧会が、東京ドームシティ ギャラリーアーモで開催中です。
会場風景 ©和月伸宏/集英社
“るろ剣”の舞台は、明治時代初期の日本。主人公の緋村剣心は、かつては派維の新志士で、幕末最強とまで謳われた伝説の人斬り・緋村抜刀斎。その過去に苛まれ、迷い悩みながらも、明治という新時代に自分の生き方を模索する姿は、多くの読者から熱狂的な支持を集め、累計発行部数7200万部超という大ヒットを記録しました。
今回の展覧会は“るろ剣”初の大規模展です。会場は“るろ剣”の年表から始まり、続くエリアでは会場限定のオリジナル映像を上映。後に続くキーワードを織り込んだ疾走感あふれる映像では、物語の名シーンや人気キャラクターが紹介されます。
「るろうに剣心 年表」
続いて、登場人物が紹介されるコーナー。剣心、薫、弥彦と、お馴染みの面々のカラー原画は、会期の前後期(前期:1/22~2/10、後期:2/11~3/7)で展示替えされます。
登場人物の紹介 ©和月伸宏/集英社
この後は作品を語る鍵である5つのテーマ別で構成されています。まず「仲間とは」。剣心を中心とした「剣心組」、四乃森蒼紫らの「御庭番衆」、志々雄真実直属の精鋭部隊「十本刀」など、理念は違えど、それぞれのかたちで結ばれています。
キーワード1 「仲間とは」 ©和月伸宏/集英社
続いて「正義とは」。剣心には剣心の、相楽左之助には左之助の、明神弥彦には弥彦の。平和、欲望、力の誇示、復讐など、ひとりひとり異なりますが、各人が闘うために掲げる信念があります。
キーワード2 「正義とは」 ©和月伸宏/集英社
続いて「強さとは」。柏崎念至を破った四乃森蒼紫の「回天剣舞六連」、剣心に奥義を伝授した比古清十郎の「九頭龍閃」など、必殺技の原画が集結しています。
キーワード3 「強さとは」 ©和月伸宏/集英社
また、和月さんによる展覧会のための二枚一対の描きおろし特別漫画《剣闘図》も展示。「京都編」の最終戦で剣心と志々雄真実の死闘が描かれたのは1997年。両者の戦いは、実に23年ぶりとなります。
(奥)和月伸宏《剣闘図》2020年 ©和月伸宏/集英社
続いて「命とは」。死闘を潜り抜けた者達のみが到達できる、独特の死生観。登場人物それぞれの想いを象徴するように、組紐で繋がっていく会場構成です。
キーワード4 「命とは」 ©和月伸宏/集英社
最後のキーワードは「幸せとは」。困難や苦難の先にある、それぞれの幸福な想い。登場人物はそれぞれの幸せを追い求めます。極端な例が志々雄の愛人・駒形由美。志々雄の役に立つため、志々雄に刺され、満足しながら亡くなります。
キーワード5 「幸せとは」 ©和月伸宏/集英社
会場後半には北海道編も。薫の父の生存を確かめるために向かった北海道で、剣心たちは新たな闘いに身を投じる事になります。2017年から「ジャンプスクエア」で連載が始まりました。
北海道編 ©和月伸宏/集英社
そして会場最後には、ゴールデンウィークに公開される映画も紹介されています。原作の「人誅編」をベースにした最終章2部作で、『るろうに剣心 最終章 The Final』と『るろうに剣心 最終章 The Beginning』。日本映画のアクション表現を大きく進化させたこれまでの3作と同様に、監督は大友啓史さん。主演はもちろん佐藤健さんです。
映画『るろうに剣心 最終章』の衣装
なお、展覧会の会期後期(2月11日~)からは、作中で緋村剣心が使用する刀をモデルに、岐阜県関市の刀匠が実際に日本刀として作り上げた「逆刃刀・真打」も公開されます。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2021年1月21日 ]