2016年の連載開始から約4年、2020年6月15日発売の「週刊少年ジャンプ」28号で最終回を迎えた「約束のネバーランド」。
その世界を紹介する展覧会が、本木ヒルズ展望台 東京シティビュースカイギャラリーで開催中です。
会場入口
原作・白井カイウ、作画・出水ぽすかによる人気マンガ「約束のネバーランド」(“約ネバ”)。
主人公のエマを中心に、孤児院で育てられた子どもたちが過酷な運命に抗いながらも希望に向かっていくストーリーは、幅広い世代から人気を集めています。
本展は、連載完結を記念して開催される特別企画。衝撃の第1話から感動の最終回までの軌跡を辿ります。
まず、エントランスエリアから大注目。コミックス全巻分の表紙イラストが窓面を彩ります。取材は夕方でしたが、夜には絶景の夜景とともにお楽しみいただけます。
エントランスエリア
その後は、基本的にストーリーに沿った流れです。
孤児院で育つ子ども達の物語ですが、実はその孤児院「グレイス=フィールド」(GF)ハウスには大きな秘密が。なんと人間は食人鬼たちの食糧で、GFハウスはその農園だったのです。
真実を知ったエマとノーマンは、GFからの脱獄を決意します。
1章「GFハウスからの脱出」
エマたちはなんとか脱獄を果たしますが、ハウスの外に広がる森で、追手鬼たちも迫ります。エマたちを救ったのは、ふたりの鬼ソンジュとムジカでした。
このエリアは、伝統と信条を守り、彷徨い生きる2人の鬼のように静謐な自然をイメージした空間です。
2章「ソンジュとムジカ」
「B06-32地点」にあった地下シェルターでエマたちが出会ったのは、別農園から脱獄してきた“オジサン”。
エマとレイはオジサンを案内人に「A08-63地点」(ゴールディ・ポンド)を目指します。
3章「B06-32シェルター」
GP(ゴールディ・ポンド)は、貴族鬼が人間猟に興じる秘密の猟場。エマはGPの食用児とともに壊滅作戦を決行。激闘の末、ついに貴族鬼に打ち勝ちます。
このエリアでは、GPで戦った「レウウィス大公」「バイヨン卿」「ノウマ」「ノウス」「ルーチェ」という密猟鬼5体の「鬼の面」が、立体化されて展示されています。
4章「ゴールディ・ポンド」
エマたちはGPから持ち帰った情報をもとに「七つの壁」の情報を探すことに。
そして1年半後、ついにエマたちは「七つの壁」の扉を見つけます。ただ、エマたちを追うラートリー家の影が迫り…。
5章「七つの壁を求めて」
この章は特別。“約ネバ”の創作の裏側に迫ります。
“約ネバ”が誕生するきっかけになったのは、2013年12月頃に、白井カイウ氏が少年ジャンプ編集部に15話分のネームを持ち込んだ事から。2014年7月頃には掲載時とほぼ同じ内容になる3話分のネームが完成。2015年12月頃に白井氏と担当編集の杉田氏が出水ぽすか氏に作画のオファーを出し、快諾。2016年からの連載に繋がりました。
ここでは当初の15話分のネームの実物、連載前の設定資料、出水氏のペン入れ前の下絵など、貴重な品々を紹介。作画作業のタイムラプス映像もあり、制作のプロセスを垣間見ることができます。
6章「『約束のネバーランド』ができるまで」
新しい目的地に向かうエマたち。辿り着いたウィリアム・ミネルヴァのアジトで、食用児のボスになっていたノーマンと、感動の再開を果たします。
鬼絶滅を主張するノーマンは王都へ。エマはその後を追います。
7章「それぞれの決意」
そして、いよいよ物語は最終章へ。エマたちはGFを急襲、制圧に成功します。エマたちは、追い詰められたラートリー家当主、ピーターに対話を持ちかけて…。
最終的に農園は廃止され、食用児たちは自由を獲得。遂に人間の世界へと渡っていきます。
8章「新しい世界へ」
会場では完結後のエマと家族たちの話として、本展のための描きおろしエピソード「Dreams Come True」も公開。ファンにはたまらないプレゼントとなりました。
描きおろしエピソード「Dreams Come True」
「約束のネバーランド」は、浜辺美波さん主演の実写映画が12月18日に公開、TVアニメの第2期も2021年1月から始まるなど、漫画の連載が終了した後もその世界は拡大中です。
遅れてきた“約ネバ”ファンの方は、この展覧会から追いついてください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年12月10日 ]