10月は、ノーベル賞の受賞者が発表される時期です。
昨年(2002年)、物理学賞を受賞された東京大学の小柴昌俊博士とアメリカのレイモンド・デービス博士、リカルド・ジャコーニ博士の3名は、いずれも天文学者です。
これまでの天文学では、星から出る光や電波を観測して研究が進んできました。
小柴博士は、岐阜県神岡町の地下1000mに直径14m、高さ16mの円筒形の巨大タンクに水を貯め、世界最大の高感度光センサーを1000個並べた観測装置 (カミオカンデ) を作って、1987年に大マゼラン星雲で起こった超新星 (SN1987a) の爆発で発生したニュートリノの検出に成功し、超新星爆発のしくみの解明に貢献しました。
デービス博士は、太陽が出しているニュートリノの検出に成功し、太陽エネルギーの解明に貢献しました。
両博士は、物質を作っている基本粒子の一種であるニュートリノという素粒子の観測に成功したのです。この新しい 「ニュートリノ天文学」 を切り開いたことが評価され、ノーベル賞を受賞されました。
ジャコーニ博士は、太陽系外のX線源を調べ、ブラックホールなどの研究に欠かせないX線天文学の基礎を作ったことが評価され、受賞されました。
1901年から毎年贈られるノーベル賞は、過去にも電波天文学、宇宙線の発見、パルサーの発見者など多くの天文学者が受賞されています。