第二次世界大戦が終わりを迎えた1945 年、戦後の荒廃と混乱の中、国土の復興と産業の再編が進められた時代から、甚大な被害をもたらした阪神・淡路大震災が起こり、新たな災害の時代の幕開けを印象付けた1995 年までの50 年間。本展では、そのような時代に制作された、長野県ゆかりの作家18 名の絵画作品63 点を紹介します。
本展は2 章で構成され、第1 章で取り上げる1945 年から70 年代前半は、終戦後まもなく民主的な改革が進められ、復興を目指した高度経済成長の時代。この時代には、戦前から続く既存の美術団体に属さずに、無審査の公募展やギャラリーを発表の場とし、また、世界のアートシーンの中心地となったアメリカへ渡った作家たちの活躍が見られます。その後、絵画作品の制作が停滞した70 年代を経て、第2 章として焦点をあてる70 年代後半から1995 年では、バブル経済による好景気や文化産業の勃興などによって、絵画は復権を果たしました。この時代、特に、絵画の純粋化を意図するフォーマリズムに影響を受けた作家たちの活躍が見られ、その活動は、大都市から地方へと広がっていきました。
大戦という惨事の終わりと、災害の時代の始まりに挟まれた50 年間に、絵画という基本的なメディアが社会と共に歩む姿、時代に影響されながらも描くことをやめない作家の姿が見えてきます。信州から描く、戦後絵画史の一様相をご覧ください。
(公式サイトより)