京都国立博物館「御即位記念特別展 皇室の名宝」展へ
暑かった夏がようやく去り、日々、秋の気配が深まる京都で、「御即位記念特別展 皇室の名宝」展が開かれています。
宮内庁が所蔵する名品を、皇室ゆかりの地である京都国立博物館で堪能する、錦秋の一日を過ごしませんか?
三の丸尚蔵館所蔵の、皇室継承の書画が一堂に!
三の丸尚蔵館外観
三の丸尚蔵館は、皇居東御苑内にあり、歴代の皇室が継承してきたものを保存、調査、公開しています。
今回の展覧会は、三の丸尚蔵館が所蔵する名だたる品々が、京都でまとまって公開される初めての機会です。皇室に深いゆかりの地京都で、日本文化の根幹をなす皇室文化の精髄に触れることができるまたとないチャンスです。
今回の展覧会は、コロナ下にもかかわらず、予定通り開催されましたが、はじめて事前予約制をとっています。
絵と詞が紡ぐ物語、絵巻物は必見!
春日権現験記絵
絵巻物は、字と絵が交互に左へ左へ進んで、物語が進んでいきます。
「春日権現験記絵」は、藤原氏の氏神である春日神の霊験を描いた鎌倉時代の絵巻物、全20巻で1巻も欠けていません。「やまと絵」の代表とされる名品を間近に見ることができます。
「蒙古襲来絵詞」は、だれもが歴史の教科書で見たことがある、なじみ深いものです。色褪せず、元寇に立ち向かう御家人たちの雄姿が生き生きと描かれています。
いずれも、前期、後期で入替がありますから、できれば両期間とも見たいものです。
圧巻の近世絵画、京都画壇の綺羅星たち!
牡丹孔雀図/円山応挙
安土桃山時代から江戸時代にかけて花開いた近世絵画、特に、狩野永徳、俵屋宗達、尾形光琳、円山応挙、伊藤若冲など京都画壇の絵師たちの豪華絢爛の作品が一堂に会しています。
圧倒的な筆致、目くるめく色彩、すべてが圧倒的です。見るものの目をくぎ付けにします。ほんとうに、ぜいたくなひとときです。絵画好きには、眼福の極みです。
京都御所の暮らしや即位の風景を間近に!
明治天皇が東京へ遷られるまで、京都御所は、天皇のお住まいであり、伝統儀礼の中心でした。
さまざまな作品から、京都御所で執り行われた儀式や暮らしの光景を垣間見ることができます。さらに、京都御所で用いられた工芸品の数々は、時代を超えて、宮廷の日々の光景を私たちに想起させます。せわしなく過ぎる現代から、ひとときのタイムトラベルです。
今年の美術展は、いずこも、変更、延期、中止を余儀なくされましたが、「皇室の名宝」展が、予定通り、開催されましたことは、本当に喜ばしい限りです。
コロナの先行き不透明感、経済の今後など考えなければならないことが山積ですが、美術展では、それらを忘れて、楽しいひとときを過ごしましょう。
[ 取材・撮影・文:atsuko.s / 2020年10月9日 ]
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