夏の日差しが厳しい中、山形市にある山形県郷土館(愛称:文翔館)に行ってきました。
大正時代に建てられた旧山形県庁舎と旧県会議事堂を、ミュージアムとして活用している施設です。
山形県郷土館(愛称:文翔館)、堂々たる外観です
建物は1916年(大正5年)の建築。米沢藩出身の中條精一郎を顧問に、ジョサイア・コンドルの内弟子だった田原新之助が設計を担当しました。
大正初期の貴重な歴史的建造物として、国の重要文化財に指定されています。
手摺や支柱も豪華な造りです
旧山形県庁舎2階の正庁は、現在でいえば講堂。豪華な家具が並ぶさまは、まるで迎賓館のようです。
ここから出られるバルコニーでは、昭和22年の昭和天皇行幸の際、天皇が県民に手を振られたそうです。
正庁
天井は修復工事の調査で、漆喰による飾りが付けられていた事が判明し、当時の資料をもとに復原されました。
よく見ると、山形県の名物であるさくらんぼもあしらわれています。
漆喰天井 さくらんぼが分かりますか?
こちらは知事室。皇族や国の高官が来県した際に、控室などとして使われていました。
山形県郷土館は、映画「るろうに剣心 京都大火編 / 伝説の最期編」で、内務省として使われました。ここでは内務卿・大久保利通が、佐藤健さん演じる緋村剣心(人斬り抜刀斎)を迎え入れたシーンが撮影されています。
知事室
1階に下りると、明治時代から現代までの山形の歴史を紹介する展示も。
鶴岡県、置賜県、山形県の3県が1876年(明治9年)に統合されて、現在の山形県になりました。
展示コーナー
隣にある中庭もあわせて、山形県郷土館です。
この中庭も、映画では志々雄に殺された警官たちの死体が並ぶシーンで使われていました。
中庭
広い空間は旧県会議事堂。県会議場として使われていましたが、講演会や演奏会も行われるなど、公会堂のような役割も果たしていました。
印象的なかまぼこ型のヴォールト天井も、復原により元の姿を取り戻しました。
旧県会議事堂
周辺には裁判所や市役所など主要施設があり、まさに市のランドマークといえる建物。無料でゆっくり楽しませていただきました。
実は、山形県に足を運んだもうひとつの理由が、こちらに泊まりたかったため。坂茂さんが設計した美しいホテル、スイデンテラス(鶴岡市)に宿泊してきました。
木に包まれるような暖かな空間。コロナのストレスを忘れさせる、楽しいひとときでした。
以上4点は スイデンテラス
[ 取材・撮影・文:S.E. / 2020年9月5日 ]
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