何度も耳にした事はありますが、来たのは今回が初めて。ただ、ぜひ8月に来たいと思っていました。
長野県上田市にある無言館に行ってきました。
車で訪問すると、最後はかなり急な坂を上って行き、建物近くに駐車場がありました。入館料は館を出る時に支払うという、ちょっと珍しいスタイルです。
訪れた日は快晴。終戦の日も、東京は晴れていたと聞いた事があります。
第二次世界大戦で犠牲になった戦没画学生の作品を展示している無言館。現在は130人名の作品が収蔵されています。
建物は、十文字状の展示室を持つ「無言館」と、すぐ近くにある第二展示館「傷ついた画布のドーム」の二館。
無言館の方には、作品とともに、作家の写真や手紙などの資料も展示されており、作家の人となりがイメージできる構成です。写真はもちろん白黒ですが、屈託の無い笑顔は、今でもどこにでもいるような普通の若い男性に見えました。
「無言館」館内(写真提供:無言館)
「無言館 第二展示館 傷ついた画布のドーム」館内(写真提供:無言館)
美術家としてはキャリアが浅い人が多いため、展示されている作品の中には、まだまだレベルが高いとは言い難いものも含まれています。
逆に、自らのスタイルを模索すべくもがいていたこの時期は、未来に向けての大切な時間でもあったわけです。
あまりにも理不尽に、夢を断ち切られた若者たち。胸が絞めつけられるような思いが、ひとつひとつの作品からにじみ出てくるようです。
国防や平和についての考えは、人それぞれでしょう。ここで個人的な主義や思想を語る事は止めておきたいと思います。
ただ、少しでも美術に興味があるなら、美術館で絵を見るのが好きなら、ぜひ一度は訪れてみてはいかがでしょうか。
平時においては珍しくも無い芸術表現が、いかに貴重な事か。かなり深く考えさせられました。
[ 取材・撮影・文:S.E. / 2020年8月1日 ]
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