現在、国宝に指定されている美術工芸品は885件。本展では210件が展示されるので(会期中通して)、約4分の1が京都国立博物館に集結するという超豪華な展覧会です。
3階から1階へと進む会場では、ジャンル別の構成。3階は「書跡」と「考古」です。
1期の書跡は《古今和歌集》(平安時代)や《土佐日記》(鎌倉時代)など。3期では飛鳥時代から安土桃山時代の書跡まで展示されますが、時代の幅が大きいのは書跡の特徴のひとつです。
考古では《深鉢形土器(火焔型土器)》が登場。先史美術を代表する華麗な装飾で、縄文土器の最高峰。新潟県外で公開されるのは実に16年ぶりです。
会場3階2階は「仏画」「六道と地獄」「中世絵画」「近世絵画」「中国絵画」です。
圧巻は、雪舟の国宝6件が1室に揃った「中世絵画」。反時計回りで《秋冬山水図》《山水図》《破墨山水図》《四季山水図巻(山水長巻)》《慧可断臂図》《天橋立図》と並び、担当の学芸員も「この部屋で寝てみたい」と興奮を抑えられない様子でした(6件揃うのは10月22日まで)。
あたりまえですが、全て国宝なので一つ一つが美しい事は言うまでもありませんが、展示の取り合せにも注目。長谷川等伯《楓図壁貼付》に《志野茶碗 銘 卯花墻》と、桃山時代の名品を前後に配するなど、心憎い演出もお楽しみいただけます。
会場2階1階は「彫刻」「陶磁」「絵巻物と装飾経」「染織」「金工」「漆工」。陶磁の部屋では、国宝に指定されている陶磁器は14点しかありませんが、ここでも墨蹟と合わせる事で、茶の湯の美意識を空間全体で感じる事ができます。
絵巻物は《信貴山縁起絵巻》(全3巻)を1~3期で1巻ずつ展示。金工では仏具とともに鎧(大鎧)と太刀の展示で、武家の装飾美も示されます。展覧会最後の漆工には、沖縄県唯一の国宝である《琉球国王尚家関係資料》。王家の儀礼で使われた格調高い調度品です。
会場1階会期が細かく分かれているため、いつ見に行くか迷うところ。前述した「雪舟の国宝6件」以降も、10月24日(火)~11月12日(日)は、長谷川等伯《松林図屏風》と長谷川久蔵《桜図壁貼付》という親子の競演。11月14日(火)~26日(日)は、18世紀の京都で生まれた尾形光琳《燕子花図屏風》、円山応挙《雪松図屏風》、与謝蕪村《夜色楼台図》がそろい踏み(燕子花図屏風は約100年ぶりに京都へ里帰り)します。
これだけの展覧会ですから、ある程度の混雑はやむを得ないです。少しでもロスを減らすため、チケットをお求めの上での来館を強くお勧めいたします。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年10月2日 ] Ⅰ期 10月3日(火)~10月15日(日)
Ⅱ期 10月17日(火)~10月29日(日)
Ⅲ期 10月31日(火)~11月12日(日)
Ⅳ期 11月14日(火)~11月26日(日)
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