世界に先駆けて
20年を迎えたヨコハマトリエンナーレ2020が、開幕となりました。
前日に行われた記者会見では、関係者より、開催への熱い思いや、実務面での苦労が語られました。
「世界が変革を迎えている今、その先陣を切ったトリエンナーレ。困難な時代を癒やし、アートが変革を助ける力を示す場になると信じている」とラクスは語ります。
ヨコハマトリエンナーレ2020 記者会見
光の破片をつかまえる
会場の光の破片を集めてみました。
ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景より ニック・ケイヴ《回転する森》2016/2020
会場に入ると、おびただしい数の「ガーデンスピナー」に迎えられます。
アメリカの庭でおなじみの装飾は、天井から吊るされ、モーターでくるくる回転。
照明の光を反射し輝きながら、複雑に形を変える様は、時を忘れ没入させられます。
ニコマーク、ピースサインに交ざり、銃や弾丸も!意外にも数多く紛れています。
ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景より ニック・ケイヴ《回転する森》2016/2020
床に目を落とすと、歪んだ森が鏡に映し出されていました。
美しさの中に潜む社会の歪でしょうか?
ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景より キム・ユンチョル《クロマ》2020
妖艶な光を放つうねり。毎時30分から始まり、15分間だけ光ります。
じっと目を凝らし一つ一つのセルを追うと、一つの輪になって繋がっています。少しずつ光の色が変化し動いています。
宇宙放射線が大気に衝突してぶつかってできる素粒子によってできる光の舞です。
ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景より 竹村京《修復されたY.N.のコーヒーカップ》(2018)
カップのひび割れ部分から、蛍光の光を放ちます。
毒を探知する発光クラゲの遺伝子を組み込んだ蚕の糸で修復。蛍光発色の装飾性は、金継ぎを思い浮かべました。
優しく包んだ布、蛍光シルクの糸、修復され発光し蘇ります。物を大切にいたわり、壊れても修復して、一生の友に・・・
人と物のほころびも修復、傷を負った物と心が立ち直る時、輝きは一層、増します。
次世代にも、慈しむ心が糸に紡がれ受け継がれていくのでしょう。
包まれた美術館
ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景より イヴァナ・フランケ《予期せぬ共鳴》(2020)
横浜美術館は黒いスクリーンにすっぽり覆われています。何を意味しているのでしょう?
中に入るとすっかり忘れていました。
退館後、疑問は解けました。入館時、気づかなかった作品解説。
ヨコハマトリエンナーレ2020展示風景より イヴァナ・フランケ《予期せぬ共鳴》(2020)シュヴェタ・サルダによる解説
風に揺られて浮かび上がる模様や光の明暗、ゆらぎを生み出す作品だったのです。
写真のモアレ模様、あとで気づきました。見終わってからもゆらぎが生まれます。
現代美術が初めての人のケアも充実
いっしょに歩くヨコハマトリエンナーレ2020ガイド 会場マップ
現代美術は難しいと思われがちと蔵屋館長は語ります。
それは作家が、一歩先の未来を予知し、つかまえて作品にしているから。現実味に欠け、実感が伴なわないためだと・・・
今回、新型コロナという毒を目の当たりにし、私たちは否応なく考えさせられています。
感覚は敏感になり、現実として追いかけてきた現代美術の課題を、キャッチしやすい状態です。 今、将来に向かって忘れないよう刻んでおくチャンスです。
解説パネルは、3部から成り「詩的な解釈」が特徴的。そこに「作家の言葉をもとに」したもの「作家、作品に関する解説」から構成されています。
不思議や分からないことを楽しみながら、AFTERコロナの世界を生きる術が見つかるはず。 会場に散りばめられたAFTERGLOWの光の破片に、ヒントが詰まっています。
エリアレポーターのご紹介 | コロコロ 美術鑑賞から、いろいろなモノの見方を発見させられます。作品から広がる世界や着眼点を提示できたらと思っています。理系の目で鑑賞したら、そんな見方も提示できたらと思っています。こちらでネタを集めています。コロコロのアート見て歩記&調べ歩記録
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