千葉市美術館 外観
昨年12月から休館していた千葉市美術館がリニューアル。建物全体が美術館になり、開館25周年の節目に大きな美術館に生まれ変わりました。
1階のさや堂ホールは、美術館の入口になりました。旧川崎銀行千葉支店だった重厚感ある空間は、美術館の導入にピッタリ。現在は「びじゅチューン!×ちばしび なりきり美術館」と題して、「びじゅチューン!」で歌になったびじゅつ作品の映像を使った体験展示が楽しめます。
美術館のエントランスになった、さや堂ホール
これまで中央区役所が入っていた4階と5階は、魅力的なスペースになりました。まず4階には図書室「びじゅつライブラリー」が新設。子どもがアートと初めて出会う絵本や児童書を数多く揃え、室内も子どもに優しいデザイン。同じく4階には参加・体験型のアーティストプロジェクトを展開する子どもアトリエ「つくりかけラボ」を設置。初回は「遠藤幹子|おはなしこうえん」が12月13日(日)まで行われます。
図書室「びじゅつライブラリー」
子どもアトリエ「つくりかけラボ」
魅力的な企画展が次々に行われる一方で、コレクションを見せる場が限られていた千葉市美術館。待望の常設展示室が、5階に新設されました。約10,000点の所蔵品から、1カ月おき(現代美術は3カ月おき)に展示替えしながらハイライトを紹介。初回は「描かれた千葉市と房総の海辺/美人画百花 描かれた ひとびと/特集 草間彌生」が8月2日(日)まで開催されます。
常設展示室
リニューアルを記念する企画展は、美術に見られる動物表現を取り上げる「帰ってきた! どうぶつ大行進」です。
冒頭は「病退散!鍾馗大集合!」。疫病を追い払う鍾馗の図を集めたのは、もちろん新型コロナに対抗するためです。
その後は10章構成。江戸の暮らしに根差した動物、十二支の動物、想像上の動物と、多彩な動物の姿が並びます。
はじめに「いま、どうぶつ展はじまる 病退散! 鍾馗大集合! 疫病破邪の生きもの表現 (鬼退治のものがたり)」
1章「あつまれ!どうぶつ大行進 江戸のくらしとどうぶつたち −−400年の昔から、共に生きてきた」
5章「象がきた! 異国のどうぶつへのまなざし」
9章「白い鳥、黒い鳥、色トリどり −−花と鳥の楽園」
展覧会のメインビジュアルになっているのが、石井林響《王者の瑞》。石井林響は明治から昭和に活躍した日本画家、この作品は大正7年なので、実際のキリンの姿は知られている時代ですが、霊獣の麒麟の姿に重ねる事で、独特の描写になりました。
3章「麒麟はまだか! 霊獣——想像上のどうぶつたち」
展覧会は、2012年に開催された「どうぶつ大行進」のバージョンアップ版。その後コレクションに加わった作品も多数あり、展示総数約250点という豪華版です。
金・土曜日は20時まで開館しており、18時以降は観覧料が半額というナイトミュージアム割引も実施中。館内で新型コロナウイルス感染拡大防止対策を行っていますが、現状は予約も必要ありません。ただ最新の状況は、公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2020年7月10日 ]