タイトルとなった「島」「星座」「ガラパゴス」は、接続や孤立、想像力や創造力、独自性や多様性などを表すためのキーワード。グローバル化が進む一方で、紛争や難民・移民の問題などが頻発するなど、相反する価値観が複雑に絡み合う現代社会を念頭に設定されました。
多数の作品が並びますが、会場はカテゴリ分けせず、小さな個展が緩やかにつながるような構成。まずは主会場である横浜美術館からご紹介しましょう。
難民問題をテーマにした作品を美術館の外壁と柱に展示したのは、アイ・ウェイウェイ。館内のグランドギャラリー(エントランスホール)には、インドネシアのジョコ・アヴィアントが巨大な竹のインスタレーションを作りました。
オラファー・エリアソンなど著名な現代美術家や、日本で初めて本格的に紹介される若手アーティストの作品なども含め、横浜美術館では28組のアーティストの作品を展示。「いわゆる現代美術」的な表現が多い中、鉛筆で克明に人物を描く木下晋の作品は独特の存在感を放っていました。
第2会場として位置付けられるのが、横浜赤レンガ倉庫1号館。海沿いの建物で12組のアーティストと1プロジェクトの作品が展示されています(うち2作家は横浜美術館でも出展)。
クリスチャン・ヤンコフスキーによる重量上げの選手が彫像を持ち上げようとする映像作品や、宇治野宗輝による家電製品などを使った映像と光と音楽の作品などが印象に残りました
プロジェクト「Don't Follow the Wind」は、震災後の帰還困難区域内を映像や資料で紹介し、封鎖解除後の未来へ繋げていく試みです。
もうひとつの会場、横浜市開港記念会館にも柳幸典の作品を展示。憲法9条をテーマにしたLED作品などが紹介されています。
諸事情で今回は動画でのご紹介できませんが、いつものように見どころ満載のヨコハマトリエンナーレ2017。展覧会とともに、公開対話シリーズ「ヨコハマラウンド」も実施されます。これは展示だけでなく、幅広い分野の専門家からの意見・提言もあわせて発信する事で、視覚と対話の両面から「共有と共生」の多様な機会となる事を目指す試み。日程などは公式サイトでご確認ください。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年8月3日 ]※写真は全て、ヨコハマトリエンナーレ2017展示風景
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