1999年に自転車事故で亡くなった長沢節。没後5年目の2004年に今回と同じ
弥生美術館で、2013年には出身地の会津若松で展覧会が開催されましたが、今回はそれ以来の大規模展。ファッション・イラストを中心に、多くの作品・資料で節の歩みを振り返ります。
会場に入ると目に入るのは、やはり数々のファッション・イラスト。的確かつ理想的に人体を表現する力量は抜群で、削ぎ落とされた肉体による魅力的なポージングは惚れ惚れするほどです(節は自身も際立った痩身でした)。ファッション・イラストは50年代から年代ごとに展示されていますが、かなり前に描かれたものでも実にスタイリッシュです。
展示室1階豪農の長男として生まれた長沢節(本名・長澤昇)。文化学院在学中から水彩画で活躍、中原淳一の勧めで挿絵画家としてデビューします。
戦後に世の中が落ち着き始めるとファッション・ページのイラストの仕事が増え、外国の雑誌を参考に洋装の女性を描きまくると、めきめき上達。いつしか「スタイル画」と呼ばれ、日本におけるファッション・イラストレーションの先駆者になりました。
スタイル画で一斉を風靡した節のもとには、弟子入り志願者が殺到。1954年に「長沢節スタイル画教室」を開きました。これが後の「セツ・モードセミナー」に繋がっていきました。同校からは著名なクリエイターが数多く巣立っていますが、節は「エラくなった人は勝手にエラくなった」と、意に介さなかったといいます。
展示室2階2017年4月23日で閉校となったセツ・モードセミナー。会場には節自身が設計し、後年は自らの住まいにもなったセツ・モードセミナーの写真も紹介されています。
展覧会は5月16日(火)から後期展示に入っており、水彩画、額装していない画稿等、約100点が展示替えされています。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2017年3月31日 ]■生誕100年 長沢 節 展 に関するツイート