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    レポート
    画鬼・暁斎 ─ KYOSAI
    三菱一号館美術館 | 東京都
    「狂画の暁斎」のみに非ず
    幕末明治期に絶大な人気を博した河鍋暁斎(1831-1889)。戯画だけでなく仏画、風俗画、動物画とあらゆるジャンルをこなした暁斎の全容に迫る展覧会が、暁斎の弟子でもあったジョサイア・コンドルが設計した三菱一号館美術館で開催中。8月4日(火)からは後期展がスタートしました。
    (左から)河鍋暁斎《横たわる美人に猫図》 / 河鍋暁斎《美人観蛙戯図》
    (右)河鍋暁斎《枯木寒鴉図》
    (左から)ジョサイア・コンドル《「茅町邸宅之図」立面図(東面)、断面図(南北)》 / ジョサイア・コンドル《「岩氏駿河台御住宅新築之図」立面図(北面)》
    河鍋暁斎《浦島太郎に鶴と亀図》
    河鍋暁斎《暁斎絵日記》
    (左から)河鍋暁斎《幟鍾馗之図》 / 河鍋暁斎《郭子儀図》
    (左から)河鍋暁斎《鳥獣戯画 動物行列》 / 河鍋暁斎《鳥獣戯画 猫又と狸》
    (左から)河鍋暁斎《河竹黙阿弥作「漂流奇譚西洋劇」パリス劇場表掛りの場 下絵》 / 河鍋暁斎《河竹黙阿弥作「漂流奇譚西洋劇」パリス劇場表掛りの場》
    (左から)河鍋暁斎《閻魔と地獄太夫図》 / 河鍋暁斎《文読む美人図》 / 河鍋暁斎《文読む美人図 下絵》
    三菱一号館などを設計したジョサイア・コンドルは、1877(明治10)年に「お雇い外国人」として来日。「日本近代建築の父」と称される活躍の一方で、コンドルは日本文化にも親しみを持っており、生け花から落語、日本舞踊まで、幅広く関心を寄せていました。

    コンドルが暁斎に入門したのは1881(明治14)年、2年後には「暁英」という号を授けられるまで腕をあげました。

    本展の前半は、コンドルと暁斎の交流や、コンドルの画業や日本研究について。暁斎は21歳年下のこの英国人を可愛がり、友人関係のような付き合いを続けました。


    会場前半 コンドルによる《Kiyosai Sensei. at Nikko. Augst 5th》は後期からの展示です

    3階最奥の大きな展示室は、第4章「暁斎とコンドルの交流」。暁斎作品の本格的な紹介はこの章からです。

    生前から戯画で人気が高かった暁斎。歌川国芳の門下生なのでいかにも、といった感もありますが、実は国芳門下で学んだのは、数えで7歳からわずか2年ほど。その後狩野派に学びましたが、狩野派のスポンサーである幕府や大名は凋落していたため、戯画の制作が主流になった、というのが実像です。

    会場を進むと、その力量が「狂画(戯画)の暁斎」に留まらないのは一目瞭然。どんなジャンルでもそつなくこなす、異例の天才絵師でした。


    Ⅳ「暁斎とコンドルの交流」

    狩野派ゆかりの正統的画風としては、道釈人物画や山水画に優品が出品されていますが、ここでは「いかにも暁斎」という作品《月に狼図》をご紹介したいと思います。

    上部には墨のボカシで妖しく光る月。荒々しい筆致で描かれた狼が咥えるのは、唇が取れ、歯茎と歯が剥き出しになった人の生首です。

    数えで9歳の時、梅雨で増水した神田川で生首を拾って写生をし、周囲の大人を吃驚させたという伝説を持つ暁斎。冷静な観察眼と驚くべき想像力によって、あまりにもインパクトが強い作品に仕立てています。


    Ⅴ-5「動物画」

    最後の展示室で紹介されているのが、美人画。暁斎の美人画は人気があり、地獄太夫を描いた作品などはいくつかのバージョンが存在します。

    中でも目をひくのが、最奥に並ぶ《横たわる美人に猫図》と《美人観蛙戯図》。ともに動物を眺める美人ですが、憂いを帯びた女性の表情はかなり個性的です。パワフルな作品はもちろんですが、一見穏やかなこの手の画題からも、暁斎の高い力量が見てとれます。


    Ⅴ-9「美人画」

    弟子であるコンドルとの関係をベースにした展覧会のため、コンドルが設計した三菱一号館美術館のみでの開催。会期はすでに後期に入っています。金曜日は20時まで観覧できますので(他の曜日は18時まで、いずれも入館は30分前まで)、お見逃しなく。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年8月4日 ]

    芸術新潮 2015年 07 月号芸術新潮 2015年 07 月号

     

    新潮社
    ¥ 1,440

    料金一般当日:1,500円
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    ■画鬼・暁斎 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2015年6月27日(土)~9月6日(日)
    会期終了
    開館時間
    10時~18時 / 金(祝日を除く)のみ10時~20時
    ※10/5より開館時間が変更になりました。
    ※いずれも最終入館は閉館30分前まで
    休館日
    月曜休館(但し、7月20日と8月31日は開館)
    住所
    東京都千代田区丸の内2-6-2
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://mimt.jp/kyosai/
    料金
    一般 1,500円/高校・大学生 1,000円/小・中学生 500円
    展覧会詳細 画鬼・暁斎—KYOSAI 幕末明治のスター絵師と弟子コンドル 詳細情報
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