『pink』『リバーズ・エッジ』『ヘルタースケルター』などで知られる岡崎京子さん。ポップな絵柄と裏腹のダークなストーリーで女性の欲望を明け透けに描き、同時期にデビューしていた桜沢エリカさんや内田春菊さんらとともに「女の子エッチ漫画家」と称される事もありました。
下北沢の理髪店の長女として生まれた岡崎さん。出身地である世田谷文学館での展覧会は、岡崎さんにとって初の大規模展です。ファンにとっても待望の機会といえ、いつもの世田谷文学館よりも若いファンの姿が目立ちます。
会場入口から、プロローグ「オンナノコ表現学」学生時代のイラストやスケッチなども紹介されているプロローグに続いて、4章構成(ただ会場構成上、紹介作品が章と離れている場所もあります)。SCENE 1は「東京ガールズ、ブラボー!!」です。
岡崎さんは、高校時代から投稿雑誌「ポンプ」にイラストや文章を投稿。新宿のディスコ「ツバキハウス」などに通っていた短大時代にマンガ家としてデビューしました。
80年代前半の東京を舞台にした『東京ガールズブラボー』。岡崎さんの作品には音楽やファッションなど、さまざまな都市文化が登場します。
SCENE 2は「愛と資本主義」。岡崎さんの代表作のひとつである『pink』は、ここで紹介されています。
昼はOL、夜はホテトル嬢のユミコが、稼いだお金をショッピングとペットのワニの餌代につぎ込む物語。愛するワニは、ソリが合わない継母に連れ去られ・・・「マンガは文学になった」と言われた名作です。
SCENE 2「愛と資本主義」SCENE 3は「平坦な戦場」。バブル景気が終わって長期不況に突入した頃、『リバーズ・エッジ』の連載が始まりました。
東京郊外の河原で、死体を発見した高校生たちの日常を描いた作品。惨劇が次々に起こる問題作は、会場に設けられた黒い展示室で紹介されています。
SCENE 4は「女のケモノ道」。岡崎京子のマンガは、いつも女の子が主人公。男女間のセックスが抵抗なく描かれる一方で、女の子同士でのシンパシーについても良く描かれます。
奥には『ヘルタースケルター』も(カテゴリ的には2章「愛と資本主義」です)。2012年に沢尻エリカさん主演で映画化、会場には映画の関連資料も紹介されています。
一般書籍としても発売されている展覧会図録は、作品原画はもちろん、岡崎さんが大ファンという小沢健二さんらによる寄稿文なども掲載。ファンの方は必見です。
[ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2015年1月29日 ] | | pink
岡崎京子 (著) マガジンハウス ¥ 1,234 |
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