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    レポート
    東京駅開業百年記念 東京駅100年の記憶
    東京ステーションギャラリー | 東京都
    100年前の姿で迎える、東京駅の100年目
    1914(大正3)年12月20日に開業した東京駅は、今年でちょうど100周年となります。空襲での被災、終戦後の修復、建て替えの危機、そして創建当初の姿への復原。東京の玄関口が歩んできた一世紀の流れを振り返る企画展です。
    《東京駅 模型 ドーム断面》東日本旅客鉄道株式会社蔵
    丸の内の1/500ジオラマが3つ、手前から1914年、1964年、2014年(それぞれ、鹿児島大学・鯵坂/増留研究室、京都工芸繊維大学・木村/松隈研究室、日本大学・廣田研究室 亀井/渡辺研究室が制作)
    (左から)《中央停車場建物建築図 東立面図(南側)》 / 《中央停車場建物建築図 東立面図(北側)》 / 《中央停車場建物建築図 北立面図》 いずれも鉄道博物館蔵
    (左から)《レリーフ 干支(亥)石膏原型》 / 《レリーフ 干支(戌)石膏原型》 いずれも鉄道博物館蔵
    (手前)《東京駅(昭和53年)》 / (奥)《東京駅(大正3年)》 いずれも東日本旅客鉄道株式会社蔵
    (左から)林唯一《少年帝都復興双六》 / 浅野薫《新東京名所巡り競争双六》 いずれも東京ステーションギャラリー蔵
    (左から)山川秀峰《東京駅と美人》〈鉄道七十年の今昔〉鉄道博物館蔵 / 奥山儀八郎《東京中央停車場》東京ステーションギャラリー蔵
    (左から)平松譲《駅前の夕暮》東京都現代美術館蔵 / 安井曾太郎《八重洲口風景》東京駅蔵
    (左から)元田久治《Indication-Tokyo Station-》 / 相笠昌義《東京駅風景・冬》 いずれも東京ステーションギャラリー蔵
    会場はプロローグの「辰野金吾と東京駅」に続き、第1章は「丸の内の100年」。丸の内の同じ場所を時代別で再現した3つの大きなジオラマが目をひきます。

    東京駅が建設されたのは1914年、驚くほど周囲には何もありません。大名屋敷が軒を連ねていたこの地は、三菱に払い下げられた後に更地となり、「三菱ヵ原」と呼ばれた原っぱでした。

    東京オリンピックが開催された1964年になるとビルが目立ちますが、見事に高さは同じ。「美観地区」として、建築物の高さが百尺(31m)に規制されていたためです。

    そして現在の2014年。模型の範囲内に100m超のビルは13棟もあり、東京駅はすっぽりと隠れるようになりました。

    続いて、地下で繋がれた東京駅について。現在の東京駅にはプラットホームが15面もあり、地下道は周辺の地下鉄の駅まで網の目のように広がっています。東京駅の地下を表現した模型が天井から吊るされ、頭上を見て進むのは面白い演出です。(《東京駅体 模型2014》田村圭介+昭和女子大学環境デザイン学科・田村研究室制作)


    第1章「丸の内の100年」

    第2章は「東京駅の100年」。駅舎の歴史を紹介します。

    東京駅は日本銀行本店などを手掛けた辰野金吾が設計。関東大震災ではびくともしませんでしたが、1945年の空襲で被災、屋根が焼け落ちる大きな被害を受けました。

    復興工事は敗戦後に実施。社会情勢は混乱し、資材も不足する困難な状況でしたが、3階だった建物は2階に、南北のドーム屋根は角ばった八角屋根に変更して復興。その姿は60年間保たれました。

    2012年に創建当初の姿に復原されたのはご存知のとおり。戦災復興時のローマ風球体天井は撤去されましたが、床にパターンとして残すなど、60年間使われた建築の記憶を留める工夫もなされています。

    興味深いのが、創建当時と戦災復興時の東京駅模型。おそらく1978年前後のもので、制作意図は不明ですが、ちょうどこの頃、東京駅を建て替える計画が出ていたため、無くなる前にその姿を留めておく目的だったのかもしれません。


    第2章「東京駅の100年」

    会場には創建時の図面をはじめ、実物の資料も展示されています。

    煉瓦の塊は、躯体用の構造煉瓦。日本煉瓦製造社によるもので、同社の煉瓦は現在の中央線の万世橋高架橋など、東京市街線の高架橋にも使われています。

    復原工事を進めた際に、創建時の部材も見つかっています。階段の手すりやブラケット(階段の踊り場や回廊部分などを支える部材)は、いずれも漆喰の壁の中から発見されたものです。

    愛嬌がある戌と亥のレリーフ石膏原型は、竣工時の写真をもとに作られたもの(創建時のレリーフは現存しません)。東京駅のドームは辰野の希望で、このような和風のモチーフが多用されました。


    第2章「東京駅の100年」

    第3章は「記憶の中の東京駅」。東京駅は文学作品の舞台としてもしばしば登場するほか、その特徴的な外観は多くの画家が題材にしてきました。

    山川秀峰は赤煉瓦の建物を美人画の背景に、松本竣介は八重洲側から見たシルエットを、元田久治の作品には廃墟となった未来の東京駅の姿と、会場には大正時代の版画から近年の漫画まで、東京駅を題材にした作品が並びます。


    第3章「記憶の中の東京駅」

    報道などで知られているように、東京駅の復原工事は空中権の売却が原資。経済性の追求によって歴史的な建造物が姿を消す例も多い中、皮肉にも東京駅は、空中権の売却という経済性のために、往年の姿で今日を迎える事となりました。

    会場で販売されている図録(2,000円)は建築史、都市、建築工学、美術、文学などさまざまな切り口で、類まれなこの建物を解説。一般書店では販売されていませんが、礼賛一辺倒ではない冷静な論評も含めて、強くお勧めします。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年12月12日 ]

    徹底解剖! 東京駅100年 過去 現在 そして未来へ徹底解剖! 東京駅100年 過去 現在 そして未来へ


    ジェイティビィパブリッシング
    ¥ 1,728

     
    会場
    会期
    2014年12月13日(土)~2015年3月1日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※金曜日は20:00まで
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日(1月12日を除く)、12月29日(月)~1月1日(木祝)、1月13日(火)
    住所
    東京都千代田区丸の内1-9-1 JR東京駅 丸の内北口 改札前
    電話 03-3212-2485
    公式サイト http://www.ejrcf.or.jp/gallery/
    料金
    一般 900円/高校・大学生 700円/中学生以下無料
    ※20名以上の団体は100円引き
    ※障害者手帳等持参の方は100円引き、その介添者は無料
    展覧会詳細 「東京駅開業百年記念 東京駅100年の記憶」 詳細情報
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