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    レポート
    不思議な動き キネティック・アート展
    SOMPO美術館 | 東京都
    アナログなアイディアが新鮮
    「動的な」を意味する「Kinetic」が示すように、キネティック・アートは動きを取り入れた美術作品のこと。1960年代にイタリアを中心に展開したキネティック・アートを日本で初めて総合的に紹介します。
    (左から)ジュリオ・ル・パルク《シリーズ29 no.5-9 9-5》 / オラシオ・ガルシアロッシ《無題》 / ダダマイーノ《ダイナミックな視覚のオブジェ》
    (左から)フランコ・グリヤーニ《動力学 1》 / フランコ・グリヤーニ《動力学 2T》 / フランコ・グリヤーニ《空間のトラウマ 6》 / フランコ・グリヤーニ《波の接合 33》
    (左から)アルベルト・ビヤージ《光学的動力学》 / アルベルト・ビヤージ《〈ジョットの「O」〉円形の視覚の動力学》 / グルッポN(トーニ・コスタ、アルベルト・ビヤージ)《視覚の動力学》
    (左から)エドアルド・ランディ《可変的な視覚の構造》 / エドアルド・ランディ《反射映像 球体ヴァリエーション》
    (左から)トーニ・コスタ《線》 / トーニ・コスタ《交錯》
    (左から)フランソワ・モルレ《三重の横糸の格子 0°-2°+2°(#50mm)_白地》 / マルチェッロ・モランディーニ《構造 208A》 / マルチェッロ・モランディーニ《構造 210A》
    (左から)マルチェッロ・モランディーニ《構造 221》 / マルチェッロ・モランディーニ《構造 223》
    エンニオ・キッジョ《線の干渉 12 遠心分離機》
    (左から)エンツォ・マリ《構造 866》 / カルロス・クルスディエス《色彩理学療法 no.626》
    「動く美術」という事だけなら1930年代のモビールも含まれますが、キネティック・アートという考え方が大きく育ったのは戦後になってから。機械文明の発達を受けて、機械に向き合いながら人間の感覚に訴える作品が次々に生まれていきました。

    本展ではイタリアの作家を中心に、フランスやドイツで活動した作家たちもあわせ約90点を紹介。今から40~50年前に作られた作品が中心です。


    会場

    キネティック・アートには、作品自体が動くのではなく、視線の移動によって変化する作品も含まれます。

    例えばトーニ・コスタ《交錯》は、白い帯を捻ってストライプ状に並べたもの。視線を動かす事で、背景の青い部分が波打つように感じられます。


    トーニ・コスタ《交錯》

    ガブリエレ・デ・ヴェッキ《軸測投影法の歪み_1》は、立体的なフレームと、その影を使った作品。

    スイッチを入れるとフレームがついた円盤が回転。じっと見ていると、立体が不思議な形に変化していくように思えてきます。


    ガブリエレ・デ・ヴェッキ《軸測投影法の歪み_1》

    ダヴィデ・ボリアーニ《磁力の平面》は、磁石と鉄の削り屑を使ったもの。

    スイッチを入れると鉄屑がゆっくりと動いていきますが、その動きはかなり微細。見逃さないように、目をこらしてご覧ください。


    ダヴィデ・ボリアーニ《磁力の平面》

    筆者イチオシは、グルッポMID《円形マトリクスの発生装置2》。黒い点が付いた円盤を回すだけですが、ご覧の通りです。

    黒い点の不思議な動きは、円盤上の点が移動する速度と、内部の照明の点滅が作用するためです。


    グルッポMID《円形マトリクスの発生装置2》

    ここにはプロジェクションマッピングもAR(拡張現実)もありませんが、アナログのアイディアを駆使した作品群は逆に新鮮に思えます。時代的には現代美術の範疇に入りますが、難解なコンセプトはありません。理屈抜きでお楽しみください。

    山梨県立美術館から巡回してきた本展。東京展の後は少し開きますが、広島展(2015年4月11日~6月24日 ふくやま美術館)、埼玉展(2015年7月4日~9月6日 埼玉県立近代美術館)と巡回します。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年7月7日 ]

    作ってふしぎ!?トリックアート工作

    コロナ・ブックス編集部 (編集)

    平凡社
    ¥ 1,620

    料金一般当日:1,000円
     → オトクなチケットのお求めはこちらicon


    ■キネティック・アート展 に関するツイート


     
    会場
    会期
    2014年7月8日(火)~8月24日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00
    ※入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし7月21日は開館
    住所
    東京都新宿区西新宿1-26-1 損保ジャパン本社ビル42F
    電話 03-5777-8600(ハローダイヤル)
    公式サイト http://www.sompo-japan.co.jp/museum/
    料金
    一般 1000(800)円/大・高校生:600(500)円/シルバー(65歳以上) 800円/中学生以下無料
    ※年齢のわかる物や生徒手帳をご提示ください
    ※障害者手帳(身体障害者手帳・療育手帳・精神障害者手帳)のご提示によりご本人とその介護者(1名まで)は無料。ただし、被爆者健康手帳をお持ちの方は、ご本人のみ無料。
    ※( )内は20名以上の団体料金 および前売り料金
    展覧会詳細 「不思議な動き キネティック・アート展 ~動く・光る・目の錯覚~」 詳細情報
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