大阪中之島美術館 開館プレイベント2019「新収蔵品 サラ・モリス《サクラ》」
文 [エリアレポーター]
カワタユカリ / 2019年9月20日
2021年度、待望の大阪中之島美術館が開館予定です。現在、プレイベントとして同館が2018年度に収蔵したサラ・モリスの《サクラ》が公開されています。
ニューヨークを拠点に活動しているサラ・モリスの国内初めてのコレクションの展示であり、映像作品《サクラ》は世界初公開。
大阪の街を舞台にした作品を観に行ってきました。
大阪城、文楽、黒門市場などいわゆる大阪らしい風景と、スーパーマーケットや地下鉄の様子など日常の風景が入り交じり、観光用プロモーションビデオのようにも見えるかと思えば、製菓工場、テレビ番組収録中の様子など、関西に住んでいても通常入ることができない場所が映し出されています。
アート作品としてどう見たらいいのだろう……。
そんな気持ちは、時間の経過とともにすぐに消えていきます。スクリーンに映るビル、地下鉄、植物や野菜、街並み、水面。
名前で呼ぶことができる具体的な物が、図形化されて名前のないものに変化し、画面を彩っています。
知っている場所なのに、それはいつしか長方形の集まりであったり、光が飛び散る空間であったり、まるで抽象絵画を観ているかのようです。
私の知る「具体的な大阪」と初めて見る「抽象化された大阪」が美しい色彩と共にスクリーンいっぱいに広がっていました。面白い瞬間でした。
そして作品の特徴は、音楽にも表れます。
独特な音楽は、初め違和感がありましたが、徐々に映像と私の耳にピタリとはまり、後半は心地よささえ感じていました。
未知の世界に連れていかれる期待感をユニークな音楽が一層煽ってくれる、そんな印象です。
そして大音量。
これは映像の世界に集中するように作家が意図したものと知りました。
セリフもストーリーもなく、次から次へと大阪の景色の断面が流れていきます。あっという間の50分間でした
帰り道、さっきまで画面でみていた現実の大阪の街を歩いている自分がいます。
ジワジワと作品の面白さが浸みこんでいきます。
サラ・モリスは《サクラ》のように都市のカラーをテーマとした映像作品と並行して抽象絵画も制作しており、大阪中之島美術館は、絵画作品も収蔵したとのこと。
いつかその作品と一緒に改めて《サクラ》を見ることができたら……。
大阪中之島美術館様、ぜひお願いします。
会場 | アートエリアB1
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開催期間 | 2019年9月21日(土)~2019年10月6日(日) |
休館日 | 9月24日(火)、30日(月) |
開館時間 | 12:00~19:00(最終日は15:00まで) |
所在地 | 大阪府大阪市北区中之島1-1-1京阪電車なにわ橋駅 地下1階 |
06-6469-5194(大阪中之島美術館準備室 / イベント内容についてのお問合せ)、06-6226-4006(アートエリアB1 / 会場についてのお問合せ) |
HP : https://nak-sakura.jp/ |
料金 | 入場無料 |
展覧会詳細へ |
「新収蔵品 サラ・モリス《サクラ》」 詳細情報 |
エリアレポーターのご紹介
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カワタユカリ
美術館、ギャラリーと飛び回っています。感覚人間なので、直感でふらーと展覧会をみていますが、塵も積もれば山となると思えるようなおもしろい視点で感想をお伝えしていきたいです。どうぞお付き合いお願いいたします。
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