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    レポート
    没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖
    東京都写真美術館 | 東京都
    “写真元祖”は絵師だった
    横浜を中心に活躍した日本最初期の写真師、下岡蓮杖(しもおかれんじょう 1823-1914)。上野彦馬と並んで「東の蓮杖、西の彦馬」と呼ばれ、日本写真文化の礎を築いた蓮杖の足跡をたどる大回顧展が、東京都写真美術館で開催中です。
    手彩色が施された写真類
    (左)写真師以前~第一期絵師時代の作品、《阿蘭陀風俗図》
    《赤井重遠像》文久三年 日本カメラ博物館/森田コレクション
    (右)《(傘を差す少女)》写真師時代の作品
    展示風景
    掛け軸が並ぶ
    (右)《琴棋書画図屏風》神奈川県立近代美術館蔵
    印には「寫眞(写真)元祖」の文字が
    展示室入口には《箱館戦争図》のバナー
    日本写真史にその名を残す下岡蓮杖。弟子が著した「写真事歴」にその経歴が記されていますが、この内容は辻褄が合わない部分も散見されるため、「ほら吹き蓮杖」と揶揄される事もありました。

    ところが詳細に調査を進めたところ、近年になって「写真事歴」は信頼に値する重要な史料である事が分かりつつあります。

    本展は、蓮杖の歩みを網羅的に紹介する初めての企画。写真はもとより、狩野派の絵師だった時代に手がけた絵画から没後の史料まで、幅広く紹介していきます。


    展示室入口から

    蓮杖は狩野董圓(とうえん)の号を持つ絵師でしたが、旗本の家で写真を目にした事で方針転換。自らが描いた絵と引き換えに写真機材と薬品類を入手し、写真館を開きました。

    当初は撮影に苦労し借金を重ねましたが、徐々に技術を修得。横浜で開いた写真館は、在住のアメリカ人や中国人で大繁盛し、大きな成功を収めました。


    蓮杖が手がけた写真が並ぶ

    絵師から写真師になった蓮杖ですが、蓮杖は絵師である事を忘れたわけではなく、むしろ絵師であり続けました。

    写真師時代にも写真館で使用する背景を制作。後に油絵も数多く制作しましたが、残念ながらほとんどの油絵は関東大震災や空襲で焼失しています。

    展覧会の後半には数多くの掛け軸も紹介されています。大きな「琴棋書画図屏風」は、大正天皇即位を記念して制作されたものです。


    後半には絵画も

    坂本龍馬を長崎で撮影した上野彦馬は蘭学者の家に生まれた科学者でしたが、下岡蓮杖は問屋の家の三男坊。文字通り叩き上げで写真の技術を身につけた蓮杖は、写真を極めた事に誇りを持っていました。そのプライドは、書画の印にある「寫眞(写真)元祖」の文字に見てとれます。

    なお、本展は静岡に巡回します。2014年6月10日(火)~7月21日(月・祝)、静岡県立美術館です。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2014年3月3日 ]

    下岡蓮杖:日本写真の開拓者

    東京都写真美術館 (監修)

    国書刊行会
    ¥ 2,940

     
    会場
    会期
    2014年3月4日(火)~5月6日(火・休)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(木・金は20:00まで)
    入館は閉館の30分前まで
    休館日
    月曜日休館 ただし祝日の場合は開館し、翌火曜日休館
    住所
    東京都目黒区三田1-13-3恵比寿ガーデンプレイス内
    電話 03-3280-0099
    公式サイト http://www.syabi.com/contents/exhibition/index-2143.html
    料金
    一般 700(560)円/学生 600(480)円/中高生・65歳以上 500(400)円
    ※( )は20名以上団体および東京都写真美術館友の会会員、当館の映画鑑賞券ご提示者、カード会員割引(トワイライトカードは除く)
    ※小学生以下および障害者手帳をお持ちの方とその介護者は無料
    ※第3水曜日は65歳以上無料
    展覧会詳細 「没後百年 日本写真の開拓者 下岡蓮杖」 詳細情報
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