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    レポート
    もうひとりの太郎
    岡本太郎記念館 | 東京都
    岡本太郎 = 写実的?
    岡本太郎といえば、強烈な原色と抽象的な造形。岡本太郎の作品で「写実的な絵画」を想像する人はいないと思います。ところが昨年、今までの岡本太郎のイメージを覆すようなデッサンがひょっこりと見つかりました。
    見つかった岡本太郎の自画像。1947年頃の作品です
    岡本敏子。こちらは1950年頃
    太郎の自画像と一緒に見つかったデッサン
    展示室
    岡本太郎のアトリエ。左側が作業机
    リビングルーム。太郎の作品でいっぱい
    リビングルームに置かれていた食器。可愛いデザインです
    岡本太郎記念館
    今日のオミヤゲ。定番の「太陽の塔」クリアファイル(315円)と、一筆箋2種(各420円)
    岡本太郎の写実的な作品は、今まで知られていなかったわけではありません。父・岡本一平や、親交があった詩人の横光利一のデスマスク、あるいは戦時中に上官を描いた油彩の肖像画など、数点の作品は知られていました。ただ、これらはあくまでも例外的なもの。特に自画像については、長年、太郎のパートナーだった岡本敏子が「岡本太郎に自画像は無い」と語っていたため、現・岡本太郎記念館長の平野暁臣氏(敏子の甥)も、そう思っていました。

    1996年に太郎が死去。アトリエを岡本太郎記念館として公開した敏子も2005年に死去し、太郎が残した膨大な資料はそのままになっていました。本年、太郎の生誕100年を迎えるにあたり、資料の整理を始めたところ、紙の間からひょっこりと出てきたのが、今回公開された岡本太郎の自画像です。作品名は記されてなかったものの、どうみても太郎自身の顔。今まで存在しないと言われていた「岡本太郎の自画像」が見つかった瞬間でした。

    これが、大発見となった「岡本太郎の自画像」です

    一緒に見つかった作品から、描かれたのは1947年前後と思われます。1947年は、太郎が新聞に「絵画の石器時代は終わった。新しい芸術は岡本太郎から始まる」と宣言し、当時の日本美術界に挑戦状を叩きつけた記念すべき年。ただ、写真に残っている強気の顔とは異なり、自画像の太郎はどことなく不安そうな表情にも見え、太郎の意外な一面が伝わってくるようにも感じられます。

    岡本敏子を描いたデッサン。凛とした敏子の雰囲気が伝わってきます

    本展では、同じように資料の中から見つかった敏子を描いたデッサン(1950年ごろ)や、少女の水彩画、中央公論に掲載するために描いた挿絵など、一般初公開の作品が多数出展されています。かつては「芸術は爆発だ」で知られ、今ふたたびブームが起きている岡本太郎の新たな一面を垣間見れる展覧会でした。

    「中央公論」への挿絵。長さは「寸」で書かれています

    最後に、岡本太郎記念館についてご紹介します。東京・青山にある同館は、岡本太郎のアトリエ兼住まいであった空間を、太郎の死後に敏子が開放したもの。太郎はここに1954年から50年以上にわたって暮らし、仕事をしてきました。床には絵の具が飛び散り、棚には多数のキャンバスがあるアトリエは、当時のままの状態で残されています。また、庭に面したリビングには無数の太郎の作品が置かれており、建物そのものから岡本太郎のパワーが溢れているようです。
    [ 取材・撮影・文:古川幹夫 / 2011年6月28日 ]

    岡本太郎記念館のリビングルーム。陽光が降り注ぐ庭にも、太郎の作品が置かれています。

    岡本太郎のアトリエ。棚にはキャンバスがいっぱい。太郎は同時に複数の作品を手がけていたといいます。
     
    会場
    会期
    2011年6月29日(水)~10月23日(日)
    会期終了
    開館時間
    10:00~18:00(入館は17:30まで)
    休館日
    火曜日(祝日の場合は開館)
    住所
    東京都港区南青山6-1-19
    電話 03-3406-0801
    公式サイト http://taro-okamoto.or.jp/
    展覧会詳細 「もうひとりの太郎 」 詳細情報
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