6月末から
福井県立美術館で開催され、史上最多の入場者数を記録した注目の展覧会。東京展のみの作品も追加されて開幕です。
今回はミケランジェロが住んだ家がそのまま美術館になっている、カーサ・ブオナローティ所蔵の素描や手紙を含む60点を展示。ミケランジェロの素顔が垣間見えるコレクションを見ることが出来ます。
甥に宛てた手紙からは、家族への愛情を感じることが出来ますミケランジェロの代表作ともいえるシスティーナ礼拝堂。天井画は1508年から制作され、1512年10月31日に除幕されました。
今回、その制作のための習作が展示されています。ダイナミックな動きの人物を描くために、入念に準備をしていたことが伺えます。
第2章ミケランジェロとシスティーナ礼拝堂本展ではミケランジェロの初期の傑作「階段の聖母」が初来日。制作した頃は1490年、15歳だったそう。薄彫の繊細な布の表現など、天才の片鱗を感じることが出来ます。
そして、すぐ側には「キリストの磔刑」が。こちらは1563年、88歳ごろの作品とされています。ミケランジェロは1564年の2月にこの世を去ります。
ミケランジェロ《階段の聖母》1490年ごろミケランジェロは一貫して肉体の表現を追及した芸術家でした。「階段の聖母」でも、幼子のキリストの背中は赤子らしからぬ肉感。「キリストの磔刑」もノミの荒削りではありますが、木の塊の中からキリストを掘り出す力強さを感じることが出来ます。
ミケランジェロ《キリストの磔刑》1563年ごろ展覧会の最後には、クレオパトラの素描が展示されています。こちらは東京展のみの展示。素描ですが完成作であり、複雑に結い上げた髪型まで丹念に書き込まれています。実はこの作品は紙の裏側を見ることが出来ます。描かれているのは表からは想像もつかない苦悶の表情のクレオパトラ。思わずその激しい対比にドキッとしてしまいます。
ミケランジェロ《クレオパトラ》1535年ごろ今回、東京展ではシスティーナ礼拝堂の4K映像が上映されています(9/13までは4K撮影をハイビジョン変換したものが上映されています)。なんと開幕9日前にやっと許可が下りて撮影がかないました。
素描を見た後に大画面で見る完成作からは、その偉業をさらに堪能できること間違いなし。ぜひ会場でご覧ください。
[ 取材・撮影・文:川田千沙・古川幹夫 / 2013年9月5日 ]